
右:瀬 千恵美 ©Peter Adamik
日本製鉄紀尾井ホール主催の「紀尾井 明日への扉」は、2013年の開始以来、期待の若手アーティストを紹介してきた。現在では第一線で活躍する音楽家も数多く含まれているこのシリーズに、2025年度は4人の俊英が出演する。
4月4日に行われる第43回は、ファゴットの河野星が登場する。東京藝大に学んで、現在は東京フィルハーモニー交響楽団の首席奏者をつとめており、オーケストラの一員としてはすでに聴かれている方も少なくないだろうが、リサイタルはこれが意外にもデビューとなる。ヴィヴァルディから20世紀フランスの作品などを経て、ロマン派のシューマンとウェーバーへと、さまざまな時代のファゴットのための作品を聴かせてくれる。
5月16日の第44回は、クラリネットの瀬千恵美。現在はザルツブルク・モーツァルテウム大学に在籍しながら、ベルリン・フィル・カラヤン・アカデミーで学んでいる。ヴィトマンに始まってモーツァルトからベルクまで、ドイツ語圏の作品によるプログラム。シューマンの「3つのロマンス」は河野も演奏するので、楽器を変えての聴き比べも一興だ。
6月と7月の後半2回も、オペラを中心に活躍するメゾソプラノの山下裕賀、24年の「プラハの春国際コンクール」の優勝者・佐々木つくし(ヴァイオリン)と続く。優れた音響を誇る日本製鉄紀尾井ホールでの、みずみずしい躍動の響きを楽しもう。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2025年3月号より)
紀尾井 明日への扉 第43回 河野 星(ファゴット) 第44回 瀬 千恵美(クラリネット)
【第43回】 2025.4/4(金)19:00
【第44回】 2025.5/16(金)19:00
日本製鉄紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp