読響の4月定期は、躍進を続けるウクライナの指揮者オクサーナ・リーニフが登場

左:オクサーナ・リーニフ ©Oleksandr Samoilov
右:ヤメン・サーディ

 ウクライナ出身のオクサーナ・リーニフが読売日本交響楽団の定期演奏会に登壇する。リーニフは、2021年にバイロイト音楽祭で《さまよえるオランダ人》を指揮して、同音楽祭史上初の女性指揮者となり、22年には、ボローニャ歌劇場の音楽監督に就任。一昨年のボローニャ歌劇場来日公演での《トスカ》の快演が記憶に新しい。昨年は《トゥーランドット》を振って、メトロポリタン歌劇場にデビューした。また、コンサート指揮者としては、2004年のグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで第3位に入賞し、マーラーやブルックナーなど独墺系の音楽に熱心に取り組んでいる。

 今回のバルトークの組曲「中国の不思議な役人」は多彩で複雑な管弦楽法で書かれた作品だけに、コンサート指揮者としての真価が示されることであろう。また、彼女の祖国、ウクライナの作曲家ボーダナ・フロリャク(1968年生まれ)の「光あれ」が紹介されるのも楽しみだ。

 そのほか、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番のソリストとして招かれるヤメン・サーディにも注目。1997年、イスラエル生まれ。現在、ウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フィルのコンサートマスターを務める気鋭のヴァイオリニストである。今、ウクライナ出身の指揮者のもと、ウィーンで活躍するイスラエル出身のヴァイオリニストの独奏で、ロシア(ソ連)を代表するショスタコーヴィチの協奏曲が演奏されるということは、非常に意味深く思われる。
文:山田治生
(ぶらあぼ2025年3月号より)

オクサーナ・リーニフ(指揮) 読売日本交響楽団
第647回 定期演奏会 
2025.4/21(月)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp