東京フィルの6月定期は開演30分前から聴き逃せない! 巨匠ピンカス・ズーカーマンが弾き振りで登場

ピンカス・ズーカーマン ©Cheryl Mazak

 6月の東京フィル定期は、完璧な技巧と艶美な音色を持った世界屈指のヴァイオリン奏者、ピンカス・ズーカーマンが弾き振りで登場する。彼はヴィオラ奏者としても名高い偉大なる音楽家。指揮者としても、セントポール室内管、ナショナル・アーツセンター・オーケストラの音楽監督やロイヤル・フィルの首席客演指揮者等を歴任し、濃密で温かな音楽性を発揮している。

 今回はまずエルガーの弦楽セレナードで、東京フィルの弦楽セクションを磨き抜いた演奏を披露する。この曲は作曲者初期のロマンティックな佳品。ズーカーマンはロイヤル・フィルを指揮したCDで振幅の大きな好演を聴かせているので、ここも期待は大きい。次いでは弾き振りによるハイドンのヴァイオリン協奏曲第1番。同曲を得意とするズーカーマンは、弾き振りで複数回CD録音を行い、艶やかなソロと典雅なアンサンブルで魅了している。今回は、日本での実演が少ない名品を、最高水準の演奏で耳にする貴重なチャンスだ。そして後半はモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。言わずと知れた崇高で堂々たる名作だが、今やモダン・オーケストラの公演のメインとなるケースは稀ゆえに、終楽章をはじめとする精緻な音の綾といつになく豊麗な響きをじっくり堪能する得難い機会となる。

 また開演30分前からズーカーマンと東京フィルメンバーによる「スペシャル・プレコンサート」が行われ、メンデルスゾーンの濃厚かつ爽快な名曲=弦楽八重奏曲の第1楽章が演奏されるのも大きな楽しみ。今回は弦楽器を主体とした豊かなサウンドに心置きなく浸りたい。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2025年6月号より)

ピンカス・ズーカーマン(指揮/ヴァイオリン) 東京フィルハーモニー交響楽団
第1018回 オーチャード定期演奏会

2025.6/22(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
第1019回 サントリー定期シリーズ
6/23(月)19:00 サントリーホール
第171回 東京オペラシティ定期シリーズ
6/24(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522

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