日本フィルがハンガリーの巨匠、ガボール・タカーチ=ナジと注目の初共演

左より:ガボール・タカーチ=ナジ ©Miguel Bueno/ミクローシュ・ペレーニ ©KataSchiller/三浦謙司 ©Harald Hoffmann

 かつてタカーチ弦楽四重奏団を率いた後、イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団のコンサートマスターを長く務め、来日経験も豊富なハンガリーの音楽家ガボール・タカーチ=ナジ(1956〜)。5月末から6月はじめにかけて、日本フィルハーモニー交響楽団と初共演する。

 日本フィルはかつてハンガリーの名匠ルカーチ・エルヴィン(1928〜2011)と信頼関係を築き、死後も名誉指揮者の称号が残る。「私も面識のあったルカーチさんと関係の深いオーケストラだと知り、とても親近感を覚えます」と、現在の本拠地スイス(ヴェルビエ音楽祭室内管弦楽団音楽監督を務める)を結んだインタビューで語った。

 6月6日&7日の第771回東京定期演奏会では、前半に「盟友」のミクローシュ・ペレーニのソロでドヴォルザークのチェロ協奏曲、後半にブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」と王道の中欧プログラム。旧ハプスブルク帝国のハンガリーとオーストリア、チェコは音楽的にも一体だ。今日の紛争だらけの世界にあって「“ハレルヤ(賛美)”の気分に満ちたモーツァルトのポジティヴな音楽」を奏で、人々が互いに愛し合うことの大切さを訴えたいという。

 5月31日の第407回横浜定期ではピアニスト、三浦謙司との初共演を心待ちにしているほか、現在も存命の作曲家夫人から「助言を授かった」というコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」の指揮に強い意欲を燃やす。

文:池田卓夫

(ぶらあぼ2025年6月号より)

ガボール・タカーチ=ナジ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団
第407回 横浜定期演奏会

2025.5/31(土)17:00 横浜みなとみらいホール
第771回 東京定期演奏会
6/6(金)19:00、6/7(土)14:00 サントリーホール


問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
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