ピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

若い感性で迫るブルックナー

左:ピエタリ・インキネン 右:アンジェラ・ヒューイット ©Bernd Eberle
左:ピエタリ・インキネン
右:アンジェラ・ヒューイット ©Bernd Eberle
 これまでにマーラーやシベリウス、ワーグナーなどで日本フィルと共演を重ねてきたフィンランドの気鋭、ピエタリ・インキネン。この4月の東京定期ではブルックナーの交響曲第7番を指揮する。
 インキネンのブルックナー? 34歳の首席客演指揮者がとりあげるレパートリーとしては、やや意外な感をもたれるかもしれない。しかし、もともとインキネンはワーグナーを得意とする指揮者である。2013年の日本フィルとの《ワルキューレ》第1幕も記憶に新しいが、パレルモやメルボルンで《ニーベルングの指環》を指揮するなど、この年齢にして豊富な実績を持つ。ブルックナーはそのワーグナーに大きな影響を受けた作曲家である。昨年11月の東京定期演奏会後に行われたアフタートークで「シベリウスは、ブルックナーからもワーグナーからも大きな影響を受けている」と、インキネンは指摘していた。つまりインキネンにとって、ワーグナー、ブルックナー、シベリウスは音楽史のなかでひとつの系譜を形作っており、その意味でブルックナーも欠かすことのできないレパートリーなのだろう。とりわけ交響曲第7番に対しては「いちばんのお気に入りの作品」と語っている。
 もう一曲のこの日の聴きものは、名手アンジェラ・ヒューイットを独奏に招いた、ブラームスのピアノ協奏曲第1番だ。ヒューイットが愛着を持つファツィオリ社製のピアノが使用される。輝かしく、そして味わい深いブラームスを期待できる。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

第669回東京定期演奏会
4/24(金)19:00、4/25(土)14:00 サントリーホール
問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
http://www.japanphil.or.jp