英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団『白鳥の湖』『シンデレラ』

期待のソリストが魅せる2大名作

左:『白鳥の湖』 Photo:Roy Smiljanic  右:『シンデレラ』 Photo:Bill Cooper
左:『白鳥の湖』 Photo:Roy Smiljanic 
右:『シンデレラ』 Photo:Bill Cooper
 4年ぶりの来日となる英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団。英国ロイヤル・バレエ団の姉妹カンパニーである同団は、演劇の国らしく緻密に練られた物語と繊細な心理描写を得意としている。今回上演される『白鳥の湖』と『シンデレラ』も、そうした個性と伝統が随所に感じ取れる作品となっている。
 『白鳥の湖』は長らく芸術監督を務めたピーター・ライトの手によるもの。冒頭で父王の葬列の場面を描くことで王子が結婚しなければならない状況を明示したり、従者ベンノを始めとする登場人物の設定に奥行きを与えることで、単なるおとぎ話以上のリアリティある物語に仕上がっている。古典作品としての様式や格を備えた踊りも実に優雅だ。
 『シンデレラ』は現芸術監督であり、物語バレエの振付家として定評のあるデヴィッド・ビントリーの演出・振付。この版では亡き母の形見という意味付けがなされた「靴」が物語の核となっている。形見の靴を与えられた裸足の物乞いの老女は、実はシンデレラの母の心を宿した仙女であり、その靴に魔法をかけシンデレラを舞踏会へと送り出す。後に王子との愛を結実させる決め手となる靴は母から娘への贈り物だったというわけだ。こうした納得感の高いストーリー展開は英国バレエの大きな魅力。幻想的な衣裳・装置も必見だ。配役での注目はプリンシパルの平田桃子がシンデレラを踊ること。成長著しいソリスト、セリーヌ・ギッテンスの白鳥も見逃せない。
文:石村紀子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)

『白鳥の湖』4/25(土)〜4/27(月) 
『シンデレラ』5/1(金)〜5/3(日・祝)
東京文化会館 
問:NBSチケットセンター 03-3791-8888 
http://www.nbs.or.jp
『白鳥の湖』5/6(水・休)13:30 愛知県芸術劇場 
問:052-241-8118
『シンデレラ』5/9(土)14:00 兵庫県立芸術文化センター 
問:0798-68-0255