第12回浜松国際ピアノコンクール 第2次予選結果発表

佐川和冴、小林海都、鈴木愛美が第3次予選に進出!

 第12回浜松国際ピアノコンクール(審査委員長:小川典子)は、アクトシティ浜松中ホールで11月15日から3日間にわたって行われた第2次予選の審査が17日に終了。会場ロビーで第3次予選に進む12名が発表された。日本勢では、これまで国内外のコンクールで実績を残している3名、佐川和冴、小林海都、鈴木愛美が第3次予選進出を決めた。

◎第3次予選進出者(12名) ※第2次予選演奏順
45 マクシミリアン・ クロマー Maximilian KROMER(オーストリア、1996年)
67 佐川和冴 SAGAWA Kazusa(日本、1998年)
05 ロバート・ ビリー Robert BILY(チェコ、1997年)
44 小林海都 KOBAYASHI Kaito(日本、1995年)
10 JJ ジュン・リ・ ブイ JJ Jun Li BUI(カナダ、2004年)
94 ライアン・ ジュウ Ryan ZHU(カナダ、2003年)
11 ヴァレール・ ビュルノン Valère BURNON(ベルギー、1998年)
01 ヨナス・ アウミラー Jonas AUMILLER(ドイツ、1998年)
73 ソン・ ユトン SUN Yutong(中国、1995年)
88 ユ・ ソンホ YOO Sung Ho(韓国、1996年)
68 コルクマズ・ジャン・ サーラム Korkmaz Can SAGLAM(トルコ、1999年)
74 鈴木愛美 SUZUKI Manami(日本、2002年)

第3次予選への進出を決めたピアニストたち(一部)と審査委員 ©️浜松国際ピアノコンクール

 2次予選の課題曲は、古典派、ロマン派、近・現代のうち、2つ以上の異なる時代区分から、2作品以上を選択する一人40分のリサイタル形式。スクリャービン、ラフマニノフなどロシアものを選ぶ出場者が目立ったが、一方、ロマン派区分で、コンクールでは鉄板のリスト作品を入れる出場者が少なかったことも印象的だった。海外勢では、日本でもおなじみのJJ ジュン・リ・ ブイ(カナダ)や、すでにピアニストとしてキャリアを積み、ザルツブルク・モーツァルト週間をはじめ主要音楽祭にも出場しているマクシミリアン・ クロマー(オーストリア)、9月のリーズ国際ピアノコンクールでセミファイナリストとなったライアン・ ジュウ(カナダ)など、実力者たちが順当に審査を通過した。非常に実力が拮抗するステージが続いたが、それぞれ10名以上エントリーしていた中国・韓国勢は、多くがこのラウンドまでで姿を消すこととなった。

マクシミリアン・ クロマー Maximilian KROMER ©️浜松国際ピアノコンクール

 結果発表に先立って、2次予選の新曲課題「Division 28 for Piano」を作曲した猿谷紀郎が挨拶した。この作品は、かつて当コンクールの運営委員長を務めていた作曲家の一柳慧(2022年に逝去)からの依頼で引き受けたという。24人の演奏を聴き終えた感想を以下のように語った。
「実は、曲が完成したときは難しくしすぎたかなと懸念していたのですが、みなさんの演奏が素晴らしく、もう少し難しくすればよかったと思ったくらい(笑)。一人ひとり皆違っていて、個性豊かに演奏してくれた。AIが人間を凌駕すると言われる昨今だが、この個性こそが人間。芸術は人間の最後の砦になるのではないか」
 コンクールの最終結果発表時には、日本人作品最優秀演奏賞も併せて発表される。

佐川和冴 SAGAWA Kazusa ©️浜松国際ピアノコンクール

 3次予選は、1日の休みを挟み、11月19日、20日の2日間の日程。室内楽とソロの課題となるが、前者では、モーツァルトの2曲のピアノ四重奏曲からいずれか1曲を選択する。ソロはまったくの自由選択(第1次予選、第2次予選で演奏する曲は除外)。70分という長丁場で、最も各ピアニストの特徴を楽しめるラウンドとなりそうだ。

文:編集部

第12回浜松国際ピアノコンクール
(会場:アクトシティ浜松)
オープニングコンサート 2024.11/4(月・祝) 中ホール
出場順抽選会(非公開) 11/8(金)
第1次予選 11/9(土)~ 11/13(水) 中ホール
第2次予選 11/15(金)~ 11/17(日) 中ホール
第3次予選 11/19(火)~11/20(水) 中ホール
本選 11/23(土・祝) ~ 11/24(日) 大ホール
表彰式 11/24(日)18:00 大ホール
入賞者披露演奏会 11/25(月)19:00 大ホール
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