大井駿、務川慧悟、若きアーティストの個性が光るチャイコフスキー

左:大井 駿 ©Great The Kabukicho
右:務川慧悟 ©Yuji Ueno

 めぐろパーシモンホールは、東京都目黒区八雲の、かつて東京都立大学(現在は八王子市に移転)があった敷地に建つホールだ。2002年開場の大ホールは定員1200、ほどよい大きさでとても見やすく、聴きやすい。

 この気持ちのよいホールで、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と交響曲第6番「悲愴」という人気曲を読売日本交響楽団が演奏する「フレッシュ名曲コンサート」が、2025年3月に行なわれる。「フレッシュ」、というそのタイトルにふさわしく、指揮者とピアニストは1993年生まれ。まさに期待の新鋭だ。

 指揮の大井駿はザルツブルク・モーツァルテウム大学指揮科などに学び、2022年の第1回ひろしま国際指揮者コンクールで第1位と細川賞を受賞。ピアニストとしても活躍する。また、ピアノの務川慧悟は東京藝術大学からパリ国立高等音楽院に学んで、21年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで第3位を受賞している。

 この2人が共演するピアノ協奏曲第1番では、珍しい1875年の初版が取りあげられる。一般的な1888年版の改訂版とは、冒頭の和音がアルペッジョになっていることなど、いくつか異なる部分がある。未整理ではあっても、作曲家が最初に構想したみずみずしさをもつ初版の魅力は、将来性あふれる俊英2人にふさわしい。

 なお、10月25日にはキャンペーン・イベントとして、トーク&レクチャー「指揮者・大井駿を知る」が中目黒GTプラザホールで開催される。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2024年11月号より)

フレッシュ名曲コンサート
大井 駿(指揮) × 務川慧悟(ピアノ) × 読売日本交響楽団
2025.3/2(日)15:00 めぐろパーシモンホール
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp