ユーフォニアムの新たな地平を目指す意欲的な奏者が、ピアニストと結成した鮮烈なデュオのデビュー・アルバム。原曲の持つ世界を優雅に拡げていくエルガーやフォーレ、ドビュッシーなどお馴染みの名曲たちも素敵だが、日本でこの楽器により演奏されていた最古のレパートリーの1つと言われるW.G.ジョーンズの「シーリア」や、精彩を放つ向井響への委嘱作品「水の反映II」にも心を掴まれる。圧巻はヴァイオリンを加えて奏でる、ブラームスが32歳で書いたホルン・トリオのユーフォニアム版。4つの楽章を通して、それぞれの楽器に託された旋律のアンサンブルがドラマを生む。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2025年4月号より)
【information】
SACD『水の反映/百采』
エルガー:朝の歌/フォーレ:シシリエンヌ/W.G.ジョーンズ(大野真理子、深石宗太郎編):シーリア/向井響:ユーフォニアムとピアノのための「水の反映II」/ドビュッシー:美しい夕暮れ/ブラームス:ホルン三重奏曲(ユーフォニアム版) 他
百采【佐藤采香(ユーフォニアム) 鐵百合奈(ピアノ)】
石原悠企(ヴァイオリン)
妙音舎
MYCL-00057 ¥3740(税込)