辻井伸行とティチアーティ指揮ロンドン・フィル公開リハーサルに学生500人招待

KDDIみらい協奏プログラム担当者に聞く

 KDDI は、2024年9月11日にサントリーホール大ホール(東京・港)で開かれる「KDDI スペシャル ロビン・ティチアーティ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ:辻井伸行」の公開リハーサルに、全国の学生500人を抽選で無料招待する。6月30日まで応募を受け付けている。世界一流の指揮者とオーケストラ、ピアニストが公演に向けて演奏をつくり上げていく場を学生たちが体験する貴重な機会だ。「KDDIみらい協奏プログラム」と名づけた取り組みの意義についてKDDIの担当者3人に聞いた。

取材・文:池上輝彦(日本経済新聞社チーフメディアプロデューサー)

 KDDI は電気通信事業会社として社是に「心を高める」を掲げている。音楽文化に通じる理念だ。同社は「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる「KDDI VISION 2030」を推進中。一環として未来を担う学生に無限の可能性を拡げる機会を提供し、共に未来を協奏する「KDDIみらい協奏プログラム」を開く。担当は同社ブランド・コミュニケーション本部ブランドマネジメント部エキスパートの西原由哲さん、同社公認の副業として社内公募で選ばれたマーケティング本部DXデザイン部カスタマーサクセス2Gコアスタッフの大平絵美さん、グローバルコンシューマ事業企画本部事業統括部モンゴル事業推進グループコアスタッフの中島菜月さん。

―― 辻井さんとティチアーティ指揮ロンドン・フィルとのリハーサルに学生を招待する目的は何ですか。

大平 「KDDI VISION 2030」では誰もが思いを実現できる社会をつくることを目指しています。一環として音楽を通じ今までなかった世界が広がるような体験、期待を超える体験を提供します。学生の皆さんにはロンドン・フィルという世界でも最上級の音楽を全身で体験し、未来へのワクワク感や人生の可能性、選択肢の広がりを感じてもらいます。特に辻井さんが奏でる音楽やその姿から皆さんの将来への夢や希望を広げてもらいたいと願っています。

大平絵美さん

西原 リハーサルを見学する場を提供することで、学生の皆さんのいろんな可能性が広がると考えています。距離が近いので、双方向の体験が可能です。一流の音楽家と間近に接する機会は絶対に一生忘れないはずです。辻井さんの演奏には私も心を打たれた経験があります。自分の置かれている状態を理由に多くのことを諦めている方もいるかもしれませんが、辻井さんのリハーサルを通じて、自分も何かできるかもしれないと思ってもらえる方が一人でもいればよいなと願っています。

 公開リハーサルには全国の小・中・高校、中等教育学校、短大や大学院、放送大学を含む大学、高等専門学校、専門学校、大学受験予備校、専修学校に在学中の学生500人を招待する。サイモン・ラトルに続く英国生まれの世界的指揮者として頭角を現し、英国王室から勲章も授与されたティチアーティ、名門ロンドン・フィル、そして老舗レコード・レーベルのドイツ・グラモフォンと日本人ピアニストとして初めて専属契約を結んだ辻井。子どもたちが当日出会うのは、当代一流の音楽家たちだ。

―― プレトーク&リハーサルという構成ですが、どのような演出を考えていますか。

中島 楽曲や演奏について解説をしてもらったり、演奏者に学生の皆さんが花束を渡すことができたり、具体的な内容を練っているところです。ふだん部活やサークルで音楽活動をしている学生も、そうでない学生も、演奏者と双方向でコミュニケーションができる場にしたいです。 KDDI は通信サービスだけでなく、音楽に関するこうした活動もしている会社だと知ってもらえたらうれしいです。

中島菜月さん

―― KDDI の通信事業と今回のような音楽関連の活動はどのようにつながりますか。

西原 「KDDI VISION 2030」の「誰もが思いを実現できる社会」の「誰もが」には、経済的・地理的な要因や障壁のすべてを取り払いたいという思いがあります。それが通信の良さであり、いろんな境遇にある人たちに等しく機会を提供したい考えが根幹にあります。リハーサルへの無料招待という形でしたら、足が遠のいてしまいがちな人たちも来られます。いろいろと心が動く機会になるのではないかと期待しています。本番のコンサートに価値があるのはもちろんですが、むしろ学生の皆さんに向けて、楽曲の背景や作曲の経緯についての解説を入れられます。本番ではできないようなやり取りを見学できる良さもあります。コミュニケーションをとれる機会もあれば、学生の皆さんには心の動く体験になるでしょう。

西原由哲さん

大平 私は営業の経験もありまして、店頭に立った頃は格安SIMが台頭した時代で、安さだけという競争に巻き込まれていく状況でした。しかし今は通信の「つなぐチカラ」で未来をつくる会社として、視座を上げることが大事です。KDDI はそういう会社だと認知してもらうことが、これからのお客様と私たちの関係性を強固にしていくうえで絶対大事だと思っています。未来ではもっと世界中とシームレスにつながりあうことが可能になり、選択肢も広がります。そうした未来に向けたサポートを子どもたちに示すことで、KDDI との関係性を構築したいと考えています。

―― 参加者に何を伝えたいですか。

中島 自分たちが取り組んでいる音楽活動は学校の中だけと感じている学生の皆さんには、音楽を続けていくことで大きな未来が待っている、ということを伝えられたらよいと思っています。音楽にまだそれほど興味がない学生の皆さんも、今回の公開リハーサルをきっかけにして何かの可能性に気付くことがあるはずです。ぜひ多くの方々に来場していただき、気付くきっかけになってもらえればと願っています。


辻井伸行 © Yuji Hori

Message from 辻井伸行さん
公開リハーサルにあたって

世界各地での演奏会で、いろいろなオーケストラと共演しますが、いつも音で会話をするように意識しています。オーケストラの音を聴きながら、息遣いなどで微妙な変化を感じ取るようにしているかもしれません。リハーサルでは、演奏しながらその日のピアノの音やホールの響きなどを確認しています。曲そのものもそうですが、お客さんが(フルで)入る前の音の響きなどにも注目すると、より楽しんでもらえると思います。ロビン・ティチアーティさんと再び共演できるのを楽しみにしています!


KDDIみらい協奏プログラム
2024.9/11(水) サントリーホール 大ホール
15:30〜 プレトーク
16:00~ 公開リハーサル
17:00 終演(予定)

|出演者|
指揮:ロビン・ティチアーティ
管弦楽:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:辻井伸行
|募集期間|
2024.4/25(木)~6/30(日)23:59
|対象|
小学生~大学生及び引率者