【CD】中村ゆかり&ブルーノ・カニーノ デュオ・リサイタル2024

 16歳でフランスに渡り、長くヨーロッパで活動を続けている中村と、録音当時88歳の巨匠カニーノによる最新盤。二人は2004年からデュオ活動を行っており、24年8月に東京で結成20周年記念公演を行った。本作はそのライブ録音で、演奏された4曲中3曲が収録されている。中村のヴァイオリンは終始艶やかで濃厚。それを大ベテランのピアノが支えあるいは引き立てながら、雄弁で風格のある音楽を形作っている。中でもモーツァルトの第2楽章のピアノによる変奏はまるで1つの独奏曲のようだ。全体に濃密なロマンティシズムと格調の高さが共存したソナタ集。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年4月号より)

【information】
CD『中村ゆかり&ブルーノ・カニーノ デュオ・リサイタル2024』

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第27番/ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ/フランク:ヴァイオリン・ソナタ

中村ゆかり(ヴァイオリン)
ブルーノ・カニーノ(ピアノ)

収録:2024年8月、Hakuju Hall(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-8027 ¥3300(税込)