濃厚なチェコ・プログラムで待望の再共演!
ヤクブ・フルシャは40代前半とまだ若いが、大指揮者への階段を着実に上っているようだ。チェコ・フィルやフランス放送フィルのアソシエート・コンダクターからスタートし、プラハ・フィルの音楽監督、都響の首席客演指揮者を務めた。現在はノットの後を継いでバンベルク響の首席指揮者、フィルハーモニア管、チェコ・フィルの首席客演指揮者のポストにある。さらに、20年以上の長期にわたりパッパーノが率いてきた英ロイヤル・オペラ・ハウスでの仕事もスタートし、2025/26シーズンからは音楽監督に就任。いよいよ世界屈指の名門歌劇場を率いることになる。端正で落ち着いた音楽は大人の魅力を湛え、当初から高い評価を得ていたが、熟成は一段と深まっているようだ。
さて、そんなフルシャが2017年度の首席客演指揮者退任後、初めて都響の指揮台に帰ってくる。20年にも出演が予定されていたが、コロナでキャンセルになってしまったため、実に7年ぶり、待望の共演だ。
プログラムはこちらもうれしいオール・チェコもの。まずはスメタナの《リブシェ》序曲。金管の堂々としたファンファーレで、今年生誕200年を迎えるこの作曲家のアニバーサリーを寿ぐ。続いてヤナーチェクの歌劇《利口な女狐の物語》より、フルシャ自身が編んだ大組曲(日本初演)。彼はヤナーチェクが長く暮らしたブルノ生まれ。この作曲家の音楽語法は同地の言葉や音楽の影響を深く受けていると言われるから、その精神をフルシャ以上に理解できる指揮者はいないだろう。そしてドヴォルザークからは彼の出世作となった交響曲第3番だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年6月号より)
【定期演奏会1000回記念シリーズ(7)】
第1002回 定期演奏会Cシリーズ
2024.6/28(金)
都響スペシャル
6/29(土)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp