シャルル・デュトワ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

変幻自在のタクト再び! 極上のサウンドに浸る至福の時

左:シャルル・デュトワ ©Chris Lee
右:阪田知樹 ©Ayustet

 新日本フィルハーモニー交響楽団の第657回定期演奏会は、世界的名匠シャルル・デュトワが登場。新日本フィルとは2022、23年に続いての共演となる。1936年生まれ、今年88歳を迎えるデュトワだが、指揮姿は年齢を感じさせず、エネルギッシュだ。各パートに目を光らせて細かく指示を出し、洗練された響きと開放的な華やぎをオーケストラから引き出す。華麗かつ繊細な表現と音色は、オーケストラの機能を知り尽すマエストロだからこそ。今回は、十八番のフランスとロシアの近代作品と、ハイドンの交響曲を組み合わせたプログラムで魅了する。

 ハイドンの最後の交響曲第104番「ロンドン」は、溌剌とした音楽で、歯切れの良いリズムが心地よい。軽やかで端正、バランスの取れた、スマートな演奏を聴かせてくれるだろう。

 デュトワが「若いときから得意としてきた」と語るストラヴィンスキーは、バレエ音楽「ペトルーシュカ」。もちろん大編成の1911年原典版だ。鮮やかにリズムをきざみ、原色を織り交ぜた多彩な音色のパレットで物語の世界を光輝かせる。デュトワの手腕が存分に発揮されるだろう。原典版は前半部分でピアノが活躍するが、幅広いレパートリーをこなす気鋭の実力派ピアニスト、阪田知樹にも注目したい。

 そして、「ペトルーシュカ」と同様、ディアギレフの依頼で作曲されたバレエ音楽をもとにした、ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲。「魔術師」デュトワのタクトが作り上げる極上の音楽。これを聴き逃すことはできない!
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2024年6月号より)

第657回 定期演奏会
〈トリフォニーホール・シリーズ〉 

2024.6/8(土)14:00 すみだトリフォニーホール
〈サントリーホール・シリーズ〉
2024.6/11(火)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp