若手の代表格、4人の妙技に寛ぐ60分
Hakuju Hallの「リクライニング・コンサート」に、レグルス・クァルテットが登場する。2020年2月の「プロジェクトQ」のために結成された若い団体だが、早い段階から驚くほど卓越した演奏を聴かせていて、国内若手四重奏団の旗手と目される存在。レグルスのメンバーはソリスト出演やオーケストラ所属など、各自が多彩な活動で幅を広げて、積み重ねた経験を四重奏に集約させている。その経験が成熟につながってきたタイミングで、コアな室内楽ファンに留まらず幅広い層の聴衆が集う、約60分、1日2公演の「リクライニング」出演が実現する。
注目の舞台に選ばれた演目は、 4人中3人出身の桐朋学園大学のメソッドを象徴する名曲、モーツァルトのディヴェルティメント K.136。ハイドンの到達した深遠な美を誇る一篇、第79番 op.76-5「ラルゴ」第2楽章。若きウェーベルンの愛の情感あふれる甘美な「緩徐楽章」。メンデルスゾーンが最愛の姉を亡くし、自らの晩年期ともなる時期の作で、彼としては異例の暗い情念に満ちた第6番ヘ短調。レグルスの特長が存分に表せるであろう、古典性とロマンあふれる名品が並ぶ。
卓越した技量と深い低音で万全のバランスを作るチェロの矢部優典。表に裏に支えつつ絶妙なひらめきを見せるヴィオラの山本周。そして、いずれも内外のコンクール入賞を重ねる名手で、手堅さと華やかさを兼備したヴァイオリンの吉江美桜と東條太河。メンバーそれぞれの魅力と、4人としての高い実力が、理想的な会場で示される好機となる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年5月号より)
2024.7/18(木)15:00 19:30 Hakuju Hall
4/20(土)発売
問:Hakuju Hall チケットセンター 03-5478-8700
https://hakujuhall.jp