ヤン=ウィレム・デ・フリーント(指揮) 読売日本交響楽団「第九」

オランダの名匠がおくる力に満ちた“歓喜の歌”

左より:ヤン=ウィレム・デ・フリーント ©Marcel van den Broek/森谷真理 ©タクミジュン/山下裕賀/アルヴァロ・ザンブラーノ/加藤宏隆

 年末恒例のベートーヴェン「第九」は力強く豊かな音で聴きたい。その点、読売日本交響楽団の厚みと潤いがあるゴージャスなサウンドは日本屈指。「読響第九」は、まず足を運ぶだけで、オーケストラ音楽としての醍醐味を満喫できる。さらに大きな魅力は、海外勢中心の実力派指揮者が登場すること。すなわち世界的マエストロの個性も味わえる。

 2023年の指揮はヤン=ウィレム・デ・フリーント。オランダを代表する名匠だ。1962年生まれの彼は、82年に古楽を主体とするコンバッティメント・コンソート・アムステルダムを設立し、オランダ響、ハーグ・レジデンティ管の首席指揮者を歴任したほか、ロイヤル・コンセルトヘボウ管等に客演。現在はウィーン室内管の首席指揮者とシュトゥットガルト・フィルの首席客演指揮者を務め、2024年から京響の首席客演指揮者にも就任する。しかもオランダ響とのベートーヴェンの録音が絶賛されており、11年録音の「第九」でも生気と力感溢れる引き締まった快演を展開している。つまり長年の研究と経験に裏打ちされた音楽を奏でてくれる心強い存在だ。

新国立劇場合唱団 ©読響

 声楽陣も、世界で活躍するソプラノ森谷真理、気鋭のメゾソプラノ山下裕賀、ドイツで光を放つテノール、アルヴァロ・ザンブラーノ、深くノーブルなバス加藤宏隆に、日本が誇る新国立劇場合唱団と万全の態勢。人類愛や平和を謳った「第九」は、現代社会への意味深いメッセージであると同時に、聴く者に無類の感動と新年への希望をもたらす。名匠による渾身かつ鮮烈な“歓喜の歌”で、至福の年末を迎えよう。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年12月号より)

2023.12/15(金)19:00、12/23(土)14:00(完売)、12/24(日)14:00(完売)
東京芸術劇場 コンサートホール
12/17(日)14:00 横浜みなとみらいホール(完売)
12/18(月)19:00 大阪/フェスティバルホール
12/20(水)、12/21(木)各日19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp