祝・開館30周年!
響ホールのある北九州市ってどんな街? Vol.3

モダンな薫り漂う港町「門司」のみどころをご紹介!《秋~冬 編》

1993年の開館以来、その音響の良さから国内外の一流アーティストが訪れる響ホールは今年開館30周年を迎えました。その響ホールがある北九州市の魅力を、地元最大級の地域メディア「北九州ノコト」編集部さんの協力を得てご紹介。人々の往来が再開した今、《音楽のある旅》を計画してみてはいかがでしょう?

 響ホールから少し足を伸ばして訪れたい観光スポットが「門司港エリア」です。ホールから徒歩15分ほどの八幡駅から上り電車に乗車し、北九州市の街並みを眺めながら電車に揺られること約30分、門司港駅に到着します。明治初期に開港した門司港には、明治から昭和初期にかけて建築された歴史的建造物が現在も残っており、「門司港レトロ」として親しまれ、人気の観光地になっています。今回は観光・体験・グルメの3つをピックアップし、紹介します。

●観光 旧門司三井俱楽部

 門司港レトロには、1914(大正3)年に建築されたネオ・ルネサンス様式の門司港駅舎をはじめ、八角形の塔屋が印象的な旧大阪商船、旧門司税関、門司電気通信レトロ館、大連友好記念館、三宜楼など歴史的建造物が多くあります。

 国の重要文化財に指定されている「旧門司三井倶楽部」は、1921(大正10)年に三井物産の社交場として作られました。格式高く感じる歴史的建造物ですが、1階にはレストラン、2階にはアインシュタイン博士のメモリアルルームと、小説家・林芙美子の資料館があります。

木造の骨組みが見える外観が特徴的

 ドイツの理論物理学者・アインシュタイン博士は講演のため、約100年前に来日し旧門司三井倶楽部に夫婦で宿泊しました。12月25日の夜には、門司YMCAで開催されたクリスマス会で、アインシュタイン博士がヴァイオリンを演奏したというエピソードもあります。当時のまま保存されているメモリアルルームは見逃せません。

 林芙美子氏は、門司区で生まれた昭和を代表する作家。手紙や小説の原稿などが展示されています。

 また、現在「門司港レトロ浪漫灯彩」が開催中で、門司港レトロ地区一帯に約30万球のイルミネーションが灯ります(2024.3/17まで)。歴史的建造物のライトアップとシャンパンゴールドの灯りが街並みとマッチし、幻想的な空間を演出しています。北九州市を代表するイルミネーションイベントを楽しみながら散策するのもお勧めです。

30万個のイルミネーションが幻想的な空間を演出

■住所/北九州市門司区港町7-1(JR門司港駅より徒歩約1分)
■開館時間/9:00~17:00
■休館日/無休 ※レストランは不定休

2階(アインシュタインメモリアルルーム、林芙美子記念室)のみ有料(大人150円、小中学生70円)

●体験 北九州銀行レトロライン トロッコ列車 潮風号

 2009(平成21)年に運行を開始した潮風号は、最高時速15㎞と日本で最も遅く短い列車です。JR門司港駅そばにある「九州鉄道記念館駅」から「関門海峡めかり駅」までの2.1kmを片道約10分でゆっくりと走ります。

 トロッコ客車2両を小型のディーゼル機関車(DB-10)が挟んだブルーの車体の「潮風号」の車窓からゆっくり関門海峡の景色を眺められ、子どもから大人まで幅広く親しまれています。途中にあるトンネルでは、車内が暗くなると天井に関門海峡に生息する魚たちの魚拓が映し出される演出もあります。現在は、土日を中心に「夜間運行」を実施中で、乗車しながら門司港レトロ浪漫灯彩、開通50年を迎えライトアップされた関門橋の夜景を楽しむことができます(24.3/31まで)。

モダンでおしゃれなデザインとブルーの車体が印象的

 潮風号を利用する際は、「関門海峡クローバーきっぷ」もお勧めです。大人800円・小児400円で、潮風号のほか、サンデンバス(みもすそ川~唐戸間)や関門汽船(下関唐戸〜門司港間)にも乗車できます。関門海峡をぐるっと1周できるので、門司港周辺を満喫するのにぴったりです。なお、潮風号が運行していない平日は、西鉄バス北九州(門司港駅前~和布刈間)を利用して周遊できます。

潮風号 https://www.retro-line.net

●グルメ 門司港名物「焼きカレー」

 明治から昭和初期にかけて、海外との貿易港として栄えた門司港には、数多くの洋食店が軒を連ねました。同時に、西洋・東洋の良さが混在した、いわゆる「ハイカラ」なメニューが多数生まれました。焼きカレーもそのうちの一つです。

 焼きカレーの発祥は諸説ありますが、中でも昭和30年代に門司港にあった喫茶店から始まったとする話があります。当時、お店で余ったカレーをグラタン風に焼いて出したところ、人気になり、広まったといいます。現在でも幅広い年代に支持されるご当地メニューです。

スパイスの効いたカレーソースにトロトロ卵とチーズが絡まる

 門司港レトロの観光推進と地域活性化を目指す「門司港グルメ会」では、認定した店舗に公式のぼりを掲げるなど、その味と伝統を守る取り組みもされています。ご飯の上にカレーやチーズ、玉子などを乗せ、オーブンで焼いた焼きカレーが定番ですが、肉、野菜、シーフードなど店舗ごとの個性的なアレンジも魅力となっています。最近では、全国のカレーが集まる他県のイベントに出展するなど認知度を年々高めています。

北九州最大級のローカルメディア「北九州ノコト」
https://kitaq.media/


北九州市立響ホール 今後のおすすめコンサート

2023北九州国際音楽祭「新時代へ―」
アレクサンドル・カントロフ(ピアノ) ズラトミール・ファン(チェロ)

2023.12/10(日)15:00 北九州市立響ホール
●曲目
シベリウス:マリンコニア op. 20
グリーグ:チェロ・ソナタ イ短調 op. 36
ワーグナー(D.ポッパー編):アルバムの綴り 変ホ長調(ロマンス)
ブラームス:チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 op.99

●料金
全席指定
S席:5,000円
A席:3,500円
U-25席(A席):2,000円
※当日各500円増

響ホールリサイタルシリーズ
樫本大進(ヴァイオリン)&エリック・ル・サージュ(ピアノ

2024.1/27(土)15:00 北九州市立響ホール
●曲目
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 op.78 「雨の歌」
ブラームス、ディートリッヒ、シューマン:F.A.E.ソナタ
クララ・シューマン:3つのロマンス op.22
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第2番 op.121
●料金
全席指定
S席 : 5,000円(前売)
A席 : 4,000円(前売)
25歳以下(A席) : 2,000円(前売/入場時要証明)
*未就学児入場不可
*当日各500円増

北九州市立 響ホール
https://www.hibiki-hall.jp/