九州交響楽団が2024年度シーズンプログラム&新体制を発表

太田弦 新首席指揮者が始動
篠崎史紀がミュージック・アドバイザーに就任

左:太田弦 右:篠崎史紀

写真提供:九州交響楽団

 10月26日、九州交響楽団が記者会見を行い、2024-2025シーズンの主催公演ラインナップを発表した。さらに、すでに公表している太田弦の首席指揮者就任に加え、あらたに“マロ”こと篠崎史紀がミュージック・アドバイザーに就く新体制も発表。会見には、太田と篠崎ら4名が登壇した。

 小泉和裕音楽監督の退任に伴い楽団史上最年少で首席指揮者のポストに就く太田は、来季からの協働に向けて以下のようにコメント。
「九州交響楽団は今季創立70周年。次の一歩を一緒に踏み出せることを大変嬉しく思っています。九響の明るいサウンドがとても好き。機動力があることも特長で、そういったところをより深めていきたい。また、福岡だけでなく九州全体との結びつきを密にする新しい取り組みも考えています。定期演奏会はもちろん、小さな演奏会や地方でのコンサートにも可能な限り出演したいです」

 来季の主催公演は「定期演奏会」に加え、中規模ホールで小編成作品を中心に演奏する「天神でクラシック」、親しみやすい作品を中心に取り上げる「名曲・午後のオーケストラ」の3シリーズを柱とした全29公演を開催。太田はそのうち10公演を指揮する。
 定期演奏会には2回登壇。首席指揮者就任記念と銘打ったシーズンオープニングの第420回(24.4/11、4/12)ではショパンのピアノ協奏曲第1番(独奏:亀井聖矢)、ショスタコーヴィチの祝典序曲、交響曲第5番を振る。第426回(24.11/7)では⼩出稚⼦「博多ラプソディ」(2020年 九響委嘱作品)、⽯井眞⽊「⽇本太⿎とオーケストラのための『モノプリズム』」(独奏:林英哲 他)といった邦人作品にも取り組む。

 福岡県北九州市出身の篠崎にはミュージック・アドバイザー就任にあたり、音楽的なアドバイスをはじめ、集客やPRなど、多岐にわたる活躍が期待されているという。篠崎は以下のように意気込みを述べた。
「九州交響楽団は子どものころから聴いていて、私に憧れを与えてくれたオーケストラ。九響との出会いがなければ多くの偉大な作曲家と出会うこともなかったかもしれません。楽団員、スタッフ、演奏会を心待ちにしてくださるお客様と素敵な時間を共有し、ともに成長していきたい。音楽は、言語や人種、宗教、そしてジェネレーションギャップをも超えることができる人類が創造した最高のコミュニケーションツールだと感じています。それを皆さんと共有したいと思っています」

 篠崎は第76回「北九州定期演奏会」(24.5/18)への登場が決まっている。自身の出身地でもある北九州で、モーツァルトの交響曲第39番、40番、41番を指揮なしでリードする。

 「定期演奏会」には、音楽監督を退任後、終身名誉音楽監督となる小泉も登場。第427回(24.12/6)でブルックナーの交響曲第5番(ノヴァーク版)を披露する。また、九響初登場のシャルル・デュトワと準・メルクルも要注目。デュトワはグラズノフのヴァイオリン協奏曲(独奏:辻彩奈)、チャイコフスキーの交響曲第5番を演奏する第425回(24.10/23)、メルクルはワーグナー、マーラー、ブラームスを振る第428回(2025.2/7)に登壇。
 他にも、第421回(24.5/23)に登場する、今年10月にN響の正指揮者に就任した下野竜也、3年連続の共演となるキンボー・イシイ(第422回:24.6/7)、今季の初共演を経て2度目の共演となるユベール・スダーン(第424回:2024.9/20)らが名を連ねた。

 家族で楽しめる「九響マタニティコンサート」は好評を受け来季も継続。夏休み中に開催する「九響サマーコンサート」、春休みの「オーケストラ for キッズ」は太田が指揮する。
 太田を中心とした新体制を幅広い世代にアピールする2024年度シーズン。新時代を迎える九響から目が離せない。

九州交響楽団
http://kyukyo.or.jp