阪哲朗、中村敬一、砂川涼子らが登壇!
共同制作オペラ 沼尻竜典作曲《竹取物語》制作発表

 びわ湖ホール、iichiko総合文化センター(大分県立総合文化センター)、札幌コンサートホール Kitara、やまぎん県民ホールが連携し、今年11月から12月にかけて上演される共同制作オペラ 沼尻竜典作曲《竹取物語》。その制作発表が4月24日、びわ湖ホール内で行われ、同ホール芸術監督の阪哲朗、本プロダクションの演出を手掛ける中村敬一、かぐや姫役のソプラノ・砂川涼子らが登壇した。

左より:阪哲朗(指揮)、砂川涼子(かぐや姫役)、中村敬一(演出)

 文化庁の助成を受け、前述の4館が連携してオペラを共同で新制作・上演する本事業。阪が指揮を務め、キャストにはびわ湖ホールが誇る「声楽アンサンブル」のメンバーを中心に配しつつ、砂川や晴雅彦ら日本のオペラシーンを代表する歌い手が客演する。また、各地のプロのオーケストラ(日本センチュリー響、九響、札響、山響)、市民参加による合唱団が出演、会場ごとに地域色ゆたかな上演となる。取り上げられる《竹取物語》は、びわ湖ホールの前芸術監督の沼尻が、日本最古の物語『竹取物語』を原作に忠実に台本化し、「子どものころ慣れ親しんだ昭和の歌謡曲のスタイルを意識」したという親しみやすい音楽を付した作品。

 阪は本作品に取り組むにあたって、
「日本語のオペラを取り上げる際は、母国語だからこその表現の追求ができる一方で、言葉の発音やそれに合わせたオーケストラのバランスなど、様々なことに一層注意を払ってコーディネートする必要があります。今回、沼尻さんの自作自演の資料には目を通さないようにしています。演奏者として何かしらの縛りを受けないよう、他の作曲家の作品と同じように取り組みたいからです。指揮者でもある作曲家の作品を、別の指揮者が取り上げた際に、ポジティブであれネガティブであれ『こういう風には思っていなった』となるのが一番面白いところだと思っています。今回、どちらに転ぶかわかりませんが、お客様ともこの楽しさを共有できたら」
と自身のスタンスを語った。

阪哲朗

 2015年8月にびわ湖ホールにて故・栗山昌良の演出により日本初舞台上演された本作。22年には同ホールでコロナ禍に合わせたセミ・ステージ形式で再演されたが、その際の演出補を担当したのが、栗山の弟子である中村だった。
「戦後の日本のオペラに深くかかわってこられた栗山先生は、沼尻さんが素晴らしく台本化・作曲したこの作品を通して、改めてオペラのドラマトゥルギーのようなものを示してくださいました。今回、それを踏襲しつつ発展させて公演できることを大変嬉しく思います。大きさや形の違う4つの会場で上演するにあたっては、演出家である僕の腕の見せ所だと考えています。それぞれのホールの良さを活かしつつ、同じような味付けのオペラとして楽しんでいただけるようにしていきたいです」

中村敬一

 22年の公演でかぐや姫役を演じた砂川は、再び同役を務める意気込みを以下のように述べた。
「かぐやはかわいらしいイメージがありますが、私としては単に“かわいい”だけではなく、地球の人間と月の使者、両方の心を持った感情の揺れ動きをお客様に共感していただけるように演じたいと考えています。同じ役を何度も歌う機会は貴重だと思いますので、より深くかぐやの内面を掘り下げていきたいです」

 上演に先がけ、中村およびテノール・福井敬を迎えた「オペラ演出家 栗山昌良を語る」(11/4、びわ湖ホール)をはじめとする関連企画も予定されている。

写真提供:びわ湖ホール

【Information】
びわ湖ホール・iichiko総合文化センター・札幌コンサートホール Kitara・やまぎん県民ホール 共同制作
沼尻竜典作曲 歌劇《竹取物語》
(全5景/日本語上演、日本語・英語字幕付)

2024.11/23(土・祝)、11/24(日) 各日14:00 びわ湖ホール 7/27(土)発売
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
12/1(日)14:00 大分/iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ 8/1(木)発売
管弦楽:九州交響楽団
12/7(土)15:00 札幌コンサートホール Kitara 8/10(土)発売
管弦楽:札幌交響楽団
12/15(日)14:00 やまぎん県民ホール 8/24(土)発売
管弦楽:山形交響楽団

指揮:阪哲朗
演出:中村敬一
原演出:栗山昌良

出演
びわ湖ホール声楽アンサンブル
 かぐや姫:砂川涼子**(11/23、12/1、12/7、12/15)、高田瑞希(11/24)
 翁(おきな):迎肇聡*
 媼(おうな):森季子*
 帝(みかど):西田昂平
 石作皇子(いしつくりのみこ):有本康人
 庫持皇子(くらもちのみこ):大野光星
 阿倍御主人(あべのみうし):市川敏雅*
 大伴御行(おおとものみゆき):晴雅彦**
 石上麻呂足(いそのかみのまろたり):平欣史
 大将:有ヶ谷友輝
 月よりの使者:德田あさひ(11/23、11/24、12/7、12/15)、渡辺玲美*(12/1)
 石上麻呂足の使者:各地域の児童(独唱)
 職人:有ヶ谷友輝、奥本凱哉、古屋彰久*、五島真澄*、砂場拓也*、林隆史*
 (*びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー、**客演)
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、各地域の合唱団

問:びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136
  https://www.biwako-hall.or.jp
  iichiko総合文化センター097-533-4004
  https://emo.or.jp
  Kitara チケットセンター011-520-1234
  https://www.kitara-sapporo.or.jp
  やまぎん県民ホールチケットデスク023-664-2204
  https://yamagata-bunka.jp