次世代を担う逸材たちが「スカラシップ コンサート」で学びの成果を披露

 京都を拠点とする公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーションは、長年にわたり音楽を学ぶ学生の支援を続けている。1991年の創設以来、国内外の教育機関で研鑽を積む音楽学生に奨学金(月額30万円、原則1年間)を支給。その次世代を担う若き音楽家たちによる、奨学生期間の成果を披露する演奏会が「ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ  コンサート」だ。京都では2013年からの開催で、加えて21年からは東京でも開いてきた。

2022年のスカラシップ コンサートより

 ローム ミュージック ファンデーションでは育成事業に関わった音楽家を「ローム ミュージック フレンズ」と称していて、今回はその中から合計27人もの演奏家が出演する5公演が企画された。京都は京都府立府民ホール“アルティ”にて3公演、東京は浜離宮朝日ホールで2公演だ。また有料にはなるが、全公演がクラシック専門ストリーミングサービス「カーテンコール」にて、当日の各公演開催と同時にライブ配信、期間限定のアーカイブ配信が実施されるのも、今の時代に即した配慮だ。

 2023年のテーマは「夢」。これに基づいた選曲を奨学生自身が行い、一人ひとりが思いを込めたバラエティ豊かな曲目が並んでいる。今回は一昨年度から加わっている作曲や音楽学を学ぶ学生の参加こそないものの、ピアノ、弦楽器、管楽器、声楽と多彩なジャンルが揃っていて、このコンサートのために結成されたメンバーによる室内楽作品が並ぶなど、多彩なラインナップとなっている。まさにここでしか聴くことができない演奏を楽しみにしたい。

2022年のスカラシップ コンサートより

 「聴きなじみのある曲から、コアな曲まで様々な作品を楽しめる」のが、このコンサートに足を運ぶ醍醐味。バロック(タルティーニ「悪魔のトリル」)から古典派(モーツァルト、ベートーヴェン)、ロマン派と20世紀音楽(作曲家多数)というように、どの演奏会に足を運んでも大満足できる百花繚乱のプログラムが組まれた。ドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、チェコ、ベルギー、ハンガリー、ノルウェー、ロシアというように、それぞれの作曲家が生まれた土地もさまざまで、正真正銘のよりどりみどりだ。

 ローム ミュージック ファンデーションのウェブサイトには、奨学生たちの様々な音楽との日常をつづった「奨学生レポート」(リンク:https://micro.rohm.com/jp/rmf/blog/category/syougakusei-report/)も掲載されているから、出演者のことを身近に感じることもできる。ぜひ彼らの「夢」がつめこまれた演奏を味わって、若き俊英たちそれぞれの確かな研鑽の成果を目の当たりにしてみたい。

文:小味渕彦之

2022年のスカラシップ コンサートより

Information

ローム ミュージック ファンデーション
スカラシップ コンサート
~夢~

 
《京都公演》 
2023.7/29(土)、7/30(日)、8/20(日)各日15:00
京都府立府民ホール アルティ
《東京公演》 
2023.8/6(日)、8/26(土)各日15:00

浜離宮朝日ホール
 
問:otonowa 075-252-8255(京都) ※平日10:00~18:00
  1002(イチマルマルニ)03-3264-0244(東京) ※平日11:00~18:00
https://micro.rohm.com/jp/rmf/lp/scholarship_2023/
https://curtaincall.media/(配信)
※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。