どりーむコンサート Vol.122 偉大なる楽聖 究極のコンチェルト

気鋭アーティストたちによるオール・ベートーヴェン・プログラム

 府中の森芸術劇場主催の「どりーむコンサート」に、指揮の原田慶太楼とヴァイオリンの三浦文彰が登場。本格的なオーケストラコンサートを楽しめるシリーズとして120回以上継続している舞台に、いま屈指の人気を誇る二人が登場するということで、広く注目を集めている。

 今回のテーマは「偉大なる楽聖 究極のコンチェルト」で、ベートーヴェンの傑作3曲をたっぷり味わえる。演奏会のメインとなる「コンチェルト」は唯一のヴァイオリン協奏曲。「究極」という言葉がこの上なくふさわしい、傑作中の傑作である。三浦は多彩な活動でますます充実の度を深めており、その美しくも力強い音でこの作品を聴けるのはうれしい。しかも本作については、自らがリーダー役を務める「ARKシンフォニエッタ」の公演で弾き振りを披露しており、音楽的な指揮ぶりに加えて、ソロを奏でながらオーケストラと交歓する様子もすばらしかった。指揮者と同じレベルで楽曲全体を知悉した状態で、原田との共演(競演)に臨むとなれば、いかなる表現も自在。かなりの聴きものになるのは間違いない。

 演奏会前半には、原田が正指揮者を務める東京交響楽団とともに、作曲者中期の悲劇的な力感あふれる序曲「コリオラン」と、青年期の情熱と野心に満ちた交響曲第1番を聴かせる。端正な美演から豪快な剛演まで、あらゆるタイプの演奏を東響と実現してきたマエストロが、この日はどんな演奏を作りあげてくれるのか。新鮮なベートーヴェン体験ができそうだ。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年9月号より)

2022.9/24(土)14:00 府中の森芸術劇場 どりーむホール
問:チケットふちゅう042-333-9999
http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/