セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

初秋に贈る絢爛豪華なロシア・プロの世界

 読響の常任指揮者となった2019年に、ヴァイグレはインタビューに答え、このオーケストラと取り組みたいレパートリーの三本柱について語っていた。まず王道となるドイツ・オーストリアの作品。自らの劇場での長いキャリアが生きるオペラ。そしてロシア作品だ。ロシアとも縁深い旧東ドイツ出身ということもあり、かねてよりスラヴ圏の音楽に心惹かれていたという。オーケストラとの意思疎通もスムーズになり、よりヴァイグレの持ち味が生かせるようになった就任4年目のシーズン。満を持してロシア作品を揃えたプログラムを披露する。

 9月の土曜・日曜マチネーシリーズでの3作品は、オーケストレーションの妙味が味わえるものばかり。ヴァイグレと読響のコンビは、腰をじっくりと据えたバランスの上に、快活な運動とともに細やかに音の綾を描いていく。鮮やかな音色も魅力の一つになりつつある。6月定期公演のブルックナー演奏でも、金管をしっかりコントロールして柔らかな音色を際立たせていた。今回メインとなるリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」では、力強くも、繊細な表情を聴かせてくれるだろう(コンマスは昨年就任の林悠介)。

 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」で共演するのは、シベリア生まれの若き才能、パヴェル・コレスニコフ。持ち前のクリアなタッチを生かし、この難曲を悠々と弾ききってくれるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2022年9月号より)

第250回 土曜マチネーシリーズ 
2022.9/24(土)
第250回 日曜マチネーシリーズ 
9/25(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp