名手たちが集結して繰り広げる“中身の濃い”3日間
今年で12回目の開催を迎える仙台クラシックフェスティバル(せんくら)。その第4回(2009年)から毎回参加し、今度が9度目の参加となる川久保賜紀は「せんくら」の魅力をこう語る。
「すばらしい演奏家が仙台にぎゅっと集まり、あちこちのホールで朝から夜までいろいろなコンサートを行い、料金も1000円からと手頃。3日間でさまざまな体験ができる音楽祭です」
今年彼女が出演するのは、3つの演奏会。
「ひとつは三舩優子さんと共演するアメリカ音楽、映画音楽を中心とした公演(9/29)。私も三舩さんもアメリカ育ちということで提案いただいた企画なのですが、実はこれまでアメリカものだけの演奏会はやったことがないので楽しみです」
また昨年に続き、川久保と同じく2002年のチャイコフスキー国際コンクールでピアノ部門の頂点に輝いた上原彩子との共演も(9/30)。
「昨年の共演後から、今度はブラームスをやろうと話していて。また同じ場所に戻って、すばらしい共演者と挑戦したい作品に取り組めるのもこの音楽祭ならではです」
もうひとつ楽しみなのが、“一夜だけのドリームチーム”せんくら・フェスティバル・ソロイスツによる公演(9/30)。成田達輝、スヴェトリン・ルセフ、礒絵里子ら弦の名手が集う。
「一昨年はヴィヴァルディの『四季』を演奏しましたが、ソリストとしてもアンサンブル奏者としても優れたメンバーなので、フルオーケストラよりずっと少ない人数なのに音楽がとてもダイナミックでした。ソリストの集まりで弾くのは少し緊張しますが(笑)、だからこそお客さまにとってもおもしろいと思います。今年の演目では、グリーグの『ホルベルク組曲』が特に好き。ワクワクする曲で、一日の最後に聴くのにぴったりです」
東日本大震災の年も、せんくらの開催が決まると、川久保は他のアーティストたちと共に仙台にかけつけた。
「こういう時こそ私たちが被災された方々に音楽を届け、力をあわせれば大丈夫だと伝えることが必要だと思いました。終演後には、来てくれてありがとうという声に感動しました」
今やすっかり、毎年の仙台行きが楽しみになっているという。
「外国暮らしではなじみのなかった牛タンも大好きになりましたし(笑)。普段会う機会のない演奏家にも会えて、みんなで牛タンを食べにいくと、公演が終わった人が合流してきて旅先ならではの楽しい時間を過ごせます。すばらしい音楽を聴くだけでなくおいしいものも食べられますから、みなさんぜひいらして、中身の濃い3日間を過ごしてほしいですね」
取材・文:高坂はる香
(ぶらあぼ2017年8月号より)
第12回 仙台クラシックフェスティバル(せんくら)2017
2017.9/29(金)〜 10/1(日) 日立システムズホール仙台(青年文化センター)、エル・パーク仙台、太白区文化センター、仙台銀行ホール イズミティ21(泉文化創造センター) 他
問:せんくら事務局022-727-1872
http://sencla.com/