1月20日、神戸文化ホール(指定管理者:公益財団法人神戸市民文化振興財団)開館50周年記念事業の記者会見が行われ、神戸市室内管弦楽団音楽監督の鈴木秀美、大澤資料プロジェクト代表の生島美紀子らが出席した。
神戸文化ホールは、1973年の開館以来、音楽・演劇・バレエといった舞台芸術事業をはじめ、4年に一度の開催の神戸国際フルートコンクールなど独自の企画制作を行い、神戸の街から文化芸術を発信してきた。2023年度から3年間をかけて、今年10月に迎える開館50周年を記念したシリーズ「Creating in KOBE 神戸で創る」を行う。オペラ、コンサート、演劇、コンテンポラリーダンス等の公演を「讃歌」をテーマに実施する。
シリーズテーマ
2023年度 「港町讃歌」 大澤壽人没後70年、神戸ジャズ100周年
2024年度 「劇場讃歌」 シェイクスピア生誕460年
2025年度 「人間讃歌」 戦後80年、阪神・淡路大震災30年
1年目のテーマは「港町」。2023年は、神戸ゆかりの作曲家、大澤壽人(ひさと)の没後70年と、神戸で日本初のプロ・ジャズバンド誕生から100年にあたる。5月に開催される神戸市室内管弦楽団と神戸市混声合唱団の「神戸から未来へ」と題したガラ・コンサートは、山田和樹の指揮で、大澤が第二次世界大戦末期に密かに書いた幻の作品「ベネディクトゥス幻想曲」が演奏会として世界初演される(ヴァイオリン:高木和弘)。さらに、同じく神戸出身である神本真理の委嘱新作「暁光のタペストリー」、岩城宏之が室内管弦楽版に編曲した武満徹の「系図 ― 若い人たちのための音楽詩 ―」(アコーディオン:大田智美)などが披露される。
12月には、年に1回開催している神戸市室内管および神戸市混声合唱団の合同定期演奏会が、2023度は開館50周年記念事業として行われる。鈴木音楽監督の指揮のもと、ソプラノの隠岐彩夏、テノールの櫻田亮、バスの氷見健一郎ら豪華ソリストが歌うのはハイドンの大作、オラトリオ「天地創造」。神戸生まれの鈴木は、「“Creating in Kobe 神戸で創る”というタイトルが付けられたこの周年事業に、ハイドンの『天地創造』(英=the creation)ほどふさわしい曲はないでしょう。ハイドンが晩年苦労を重ね作り上げた最も大きな作品の一つであり、創造性、想像性の両方が発揮されたこの作品を神戸の皆さんに聴いていただけることを嬉しく思っている」と意気込む。
2024年度以降も演劇・舞踊など多岐にわたるジャンルが企画され、2024年1月には、日本初のジャズバンド発祥の地・神戸ならではの新作演劇で、筒井康隆の小説を原作とした「ジャズ大名」がKAAT神奈川芸術劇場等との連携企画として上演される。
半世紀にわたって文化芸術の裾野を広げる試みを続けてきた神戸文化ホール。2027年度以降には、新・神戸文化ホールとして三宮に移転することが決定している。50周年という節目にふたたび始まる、新たな時代に期待したい。
神戸文化ホール 開館50周年記念事業 主なプログラム
神戸市室内管弦楽団 神戸市混声合唱団
ガラ・コンサート「神戸から未来へ」
2023.5/19(金)18:30 神戸文化ホール
指/山田和樹
出/高木和弘(ヴァイオリン)、大田智美(アコーディオン)
神戸市室内管弦楽団
神戸市混声合唱団
神戸文化ホール50周年記念児童合唱団(特別編成) 他
神戸市室内管弦楽団 神戸市混声合唱団 合同定期演奏会
ハイドン:オラトリオ「天地創造」
2023.12/16(土)14:00 神戸文化ホール
指/鈴木秀美
出/隠岐彩夏(ソプラノ)、櫻田亮(テノール)、氷見健一郎(バス)
ジャズ大名
2024年1月上旬 神戸文化ホール
神戸文化ホール 開館50周年記念サイト
https://www.kobe-bunka.jp/hall/50th/