【CD】ドメニコ・スカルラッティ:チェンバロのためのソナタ集 Vol.1/辰巳美納子

 大バッハやヘンデルと同じ1685年生まれ、スペインのマドリードなどで活躍したドメニコ・スカルラッティ。独自の作曲技法を操る鬼才による、鍵盤楽器のためのソナタは約560曲におよぶとも。主に単一楽章で書かれたこれらの中から、チェンバロの名手・辰巳美納子は今回、“対”を成すと考えられる3組を含めた12曲を厳選して収録した。バッハの録音では、知性と愉悦を巧みに出し入れする秀演を聴かせた彼女だが、今回はあえて前者を優先。全体的に端正な演奏だからこそ、不協和音の使用や同一音型の執拗な反復、意表を突く転調など、スカルラッティの作曲技法の先鋭さがいっそう際立つ。
文:寺西肇
(ぶらあぼ2023年2月号より)

【information】
CD『ドメニコ・スカルラッティ:チェンバロのためのソナタ集 Vol.1/辰巳美納子』

スカルラッティ:ソナタ ト長調 K.201、同変ロ長調 K.202、同ホ短調 K.203、同ニ長調 K.118、同ニ長調 K.119、同ロ短調 K.197、同ハ長調 K.143、同ト短調 K.546、同ト長調 K.547、同ロ短調 K.87、同ハ長調 K.460、同ハ長調 K.461、フーガ ニ短調 K.41

辰巳美納子(チェンバロ)

コジマ録音
ALCD-1212 ¥3080(税込)