石井清子舞踊生活80周年記念公演 東京シティ・バレエ団『コッペリア』

輝かしいキャリアをカンパニーが十八番の演目で讃える

『NHKバレエの饗宴 2013』より C)瀬戸秀美
 東京シティ・バレエ団は、江東区を拠点とするバレエ団だ。同区と芸術提携を結び、1994年に開場したティアラこうとう(江東公会堂)を“ホーム”にして公演を行なっている。
 7月に上演する『コッペリア』の会場もティアラこうとうだが、サブタイトルいわく、「石井清子舞踊生活80周年記念公演」。
 石井は、1968年に日本初の合議制バレエ団として誕生した同団の創設以来のメンバーで、長らく理事長を務め、現在は顧問としてバレエ団をサポートしている。加えて、江東区は彼女の生地でもあり、地元の子供達と同団の協働による『くるみ割り人形』を冬の風物詩に育て上げた実績を持つ。言うなれば、江東区のバレエ振興の推進役なのだ。同団公演の常連なら、トレードマークのロングスカーフをふわりと身に着け、談笑の輪の中心にいる石井の姿を見かけたことがあるだろう。
 かくして、石井のキャリアの節目を祝うべく、本人の演出・振付による人気演目『コッペリア』が、本拠地のティアラこうとうにお目見えする。
 主役は、バレエ団の中核を支える中堅を配したダブルキャスト。お茶目なヒロイン、スワニルダには、3月公演で日本初演されたウヴェ・ショルツ振付『オクテット』でも主要パートを演じた清水愛恵(8日)と中森理恵(9日)が登場する。スワニルダと相思相愛ながら、美少女人形コッペリアも気になるフランツ役は、韓国出身の貴公子ダンサー、キム・セジョン(8日)と、昨年、名古屋の松岡伶子バレエ団から移籍した中弥智博(9日)。地元愛のみならず、国内外の才能を受け入れる懐の深さも、同団の特徴である。
文:上野房子
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

7/8(土)17:00、7/9(日)14:00 ティアラこうとう
問:東京シティ・バレエ団03-5638-2720
http://www.tokyocityballet.org/