エトワール・シリーズ プラス Vol.1 佐藤晴真(チェロ) Part.1 無伴奏チェロ・リサイタル

活躍目覚ましいチェリストの個性光る挑戦のプログラム

©Seiichi Saito

 今年開館30周年を迎える、彩の国さいたま芸術劇場。この節目を機に、同劇場が主催する音楽部門の名シリーズ「エトワール」がリニューアルされた。これまではピアニストの紹介に特化してきたが、「エトワール・シリーズ プラス」と装いを新たにして、ピアノに限らず様々な楽器で活躍する若手アーティストを厳選、「リサイタル」と「室内楽」の2つのプログラムで開催する。

 その新シリーズの1人目に選ばれたのは、チェリストの佐藤晴真。2019年、難関のミュンヘン国際音楽コンクールチェロ部門で日本人として初優勝を果たして注目を集め、以来各地で出演を重ね、演奏の度に評価を高める俊英だ。

 5月開催の「リサイタル」は、全曲無伴奏作品。しかもバッハの第5組曲、クラムのソナタ、ブリテンの第3組曲という、刺激的かつ意義深い演目。佐藤によると、国も時代背景も異なる3曲ながら「調性を全てハ短調で統一した、挑戦のプログラム」という。自らの全てを露わにするような演目で、佐藤の現在地と覚悟を聴かせる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年5月号より)

Message from Haruma Sato

 チェロのための無伴奏作品は数が少ないながらも、バロック期から様々な作曲家によって残されてきました。今回演奏させていただくのは、違う時代背景、そして違う国にルーツを持つ作品たちです。
 調性を全てハ短調で統一し、作品それぞれの個性、ひいては作曲家がそれぞれ描こうとしたハ短調に対する重みやその奥に隠したエレガンスを、よりダイレクトに感じていただこうという挑戦のプログラムです。
 バッハの無伴奏チェロ組曲の中でも僕が最も愛する第5番から始まり、ファンタジックでどこか懐かしい響きのクラム、そして重厚な和声とストーリー性が際立つブリテン。
 この素晴らしい音楽を、ぜひ会場で一緒に味わうことができれば幸いです。

佐藤晴真

2024.5/25(土)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
問:彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 
https://www.saf.or.jp/arthall/