ファビオ・ルイージ(指揮) NHK交響楽団

5月、首席指揮者がN響の真価を魅せる

ファビオ・ルイージ 写真提供:NHK交響楽団

 昨年12月に第2000回定期公演をマーラーの交響曲第8番の名演で飾ったファビオ・ルイージ&NHK交響楽団が充実した演奏を続けている。5月定期公演のAプログラムでルイージが取り上げるのは、彼の祖国イタリアを代表する作曲家の一人であるレスピーギの「ローマ三部作」。どれも華麗な音色に彩られた描写的な音楽であり、ますます進化を続けるN響の今の魅力を知るには最適の作品といえるであろう。ルイージは、三部作を成立順ではなく、「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」の順番で演奏する。賑々しく派手な「松」と「祭り」の間に、繊細な「噴水」を置くことによって、各作品のコントラストを際立たせる配慮がなされている。演奏会の最初にはリッカルド・パンフィリ(1979年生まれ)の「戦いに生きて」(2017年世界初演)が日本初演される。レスピーギとちょうど100歳違いの現代イタリアの作曲家の作品にも注目である。

 Cプログラムはメンデルスゾーン・プログラム。2022年12月の交響曲第3番「スコットランド」での豊潤で質の高い演奏が記憶に新しいが、今回は交響曲第5番「宗教改革」が取り上げられる。この作品はルター派によるアウグスブルク信仰告白の300周年を記念して作曲され、コラールなども引用されている。演奏機会はそれほど多くないが聴き応えのある交響曲である。また、「夏の夜の夢」から人気の高い4曲が演奏されるのも楽しみだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年5月号より)

第2010回 定期公演 Aプログラム
2024.5/11(土)18:00、5/12(日)14:00
第2011回 定期公演 Cプログラム
2024.5/17(金)19:30、5/18(土)14:00
NHKホール
問:N響ガイド0570-02-9502 
https://www.nhkso.or.jp