京都の秋 音楽祭

20周年ならではの充実したラインナップ

 古都が最も輝く季節を彩る恒例行事として、すっかり定着した「京都の秋 音楽祭」が、今年で20周年を迎える。9月18日から11月27日までの期間中に行われる全22公演は、節目を飾るのにふさわしく、例年にも増して、充実のラインナップ。紅葉の衣を纏い、次第に魅力を深めてゆく京都の街を、極上の響きと共に愉しんでみてはいかがだろうか。
 最初に要チェックなのは、来日オーケストラの2公演。今年は90歳を目前に控えた巨匠ヘルベルト・ブロムシュテットが率いるバンベルク交響楽団(11/5)と、40代に入ったばかりの新音楽監督ダニエル・ハーディングに率いられたパリ管弦楽団(11/20)、独仏の名門が相次いで登場する。
 1946年にドイツ南部で創設されたが、その源流はチェコで創設された楽団へと遡るだけに、他のドイツの楽団にはない、独特の“ボヘミアン・スピリッツ”を特徴とするバンベルク交響楽団。名誉指揮者を務めるブロムシュテットも、「ずっと魅了されている」と語る。今回のプロは、交響曲第5番「運命」と、ヴァイオリン協奏曲からなるオール・ベートーヴェン。ソリストは、国際的な活躍を続けている諏訪内晶子が務める。
 一方、フランスを代表する名門で、そのルーツは19世紀前半という長い歴史を誇るパリ管弦楽団。しかも、タクトは9月にパーヴォ・ヤルヴィから音楽監督を引き継いだばかりのハーディングとあって、注目は必至だ。ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」の抜粋に、ブリテンのオペラ《ピーター・グライムズ》から「4つの海の間奏曲」、若き名匠ジョシュア・ベルをソリストに迎えたブラームスのヴァイオリン協奏曲と、ひとひねり効いたプロで魅せる。
 若い才能が躍動するのも、この音楽祭の特徴。関西の8つの音楽大学の学生による「オーケストラ・フェスティバル」の第6回(9/22)は、秋山和慶指揮でマーラーの大作・交響曲第2番「復活」に挑む。もちろん、合唱団やソリストも、学生たちが務める。新作工房プロジェクト「トリコロール」(11/3)では、坂田直樹、増田真結、山本祐介という気鋭の若手作曲家たちが、“3”という共通テーマに基づき、三者三様の鮮烈な響きの世界を紡ぎ上げてゆく。また、京都・プラハ姉妹都市提携20周年を記念しての京都市立芸術大学の公開講座「知られざるボヘミアの作曲家たち」(11/15)も開催される。
 このほか、下野竜也指揮による京都市交響楽団が、マーラーの交響曲第1番「巨人」を軸に、ヴァイオリンの俊英・三浦文彰のソロによるシューマンの協奏曲、そして、すぎやまこういちによるファンファーレ「序奏MIYAKO」の世界初演で、華やかに幕開けを告げる「開会記念コンサート」(9/18)から、高関健指揮の京響がメシアン「トゥーランガリラ交響曲」の壮麗な響きで幕を閉じる最終ステージ(11/26,11/27)まで、期間中は個性的な公演が絶えず開かれていて、決して“耳”が離せない。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年9月号から)

9/18(日)〜11/27(日) 京都コンサートホール
問:京都コンサートホール075-711-3231
http://www.kyotoconcerthall.org