ギルバート・ヴァルガ(指揮) 台北市立交響楽団

チャイコフスキーの名曲を集めて

 近年成長著しいアジアのオーケストラ界だが、この秋に来日する台北市立交響楽団も注目株のひとつ。11月に札幌と横浜で公演を行なう。
 台北市立交響楽団は1969年の設立。当初はわずか30名の楽員でスタートしたが、現在では100名を超える楽員を有する堂々たるシンフォニー・オーケストラに育っている。これまでにヨーヨー・マ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ユーリ・テミルカーノフ、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーといった世界的なソリスト、指揮者と共演。2013年よりギルバート・ヴァルガを首席指揮者に迎え、さらなる躍進を遂げつつある。
 今回の来日公演では、そのギルバート・ヴァルガのもと、ソリストにロシア出身のピアニスト、アンナ・ヴィニツカヤを迎えて、オール・チャイコフスキー・プログラムが組まれた。歌劇《エフゲニー・オネーギン》より「ポロネーズ」、ピアノ協奏曲第1番、交響曲第6番「悲愴」という、オーソドックスなプログラム構成。
 アンナ・ヴィニツカヤは2007年エリザベート王妃国際音楽コンクール第1位を獲得した若手実力者で、ルツェルン音楽祭に出演するほか、ミュンヘン・フィル、スイス・ロマンド管弦楽団他の著名オーケストラとも共演している。フォトジェニックな姿とはうらはらにダイナミックな演奏を聴かせてくれるという評判だ。
 チャイコフスキーの魅力をたっぷりと味わえる公演を期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)

11/18(火)19:00 札幌コンサートホールKitara
問:ミュージック・ギャラリー011-726-9360
11/20(木)19:00 横浜みなとみらいホール
問:神奈川芸術協会045-453-5080