1992年に結成された日本屈指の弦楽四重奏団が、2004年に録音した名アルバムのリマスター盤。何と言ってもボロディンの2つの弦楽四重奏曲を併せて楽しめる点が大きな魅力をなしている。演奏は実に豊潤で艶やか。広くお馴染みの第2番は特に艶があり、中でもチェロの藤森の安定した奏法と美音が、「ノットゥルノ」の名で知られる第3楽章をはじめ随所で効果を高めている。しかしさらなる妙味は、かなり珍しい第1番の意外に多様な音楽を丁寧かつパッショネイトな表現で味わえる点。絶妙に綾なすこの演奏を聴けば、第2番の理解もより深まるに違いない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年2月号より)
【information】
CD『ボロディン:弦楽四重奏曲第1番&第2番/モルゴーア・クァルテット』
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番、同第1番
モルゴーア・クァルテット
【荒井英治 戸澤哲夫(以上ヴァイオリン) 小野富士(ヴィオラ) 藤森亮一(チェロ)】
マイスター・ミュージック
MM-4537 ¥3520(税込)