【CD】極端の時代、多感様式の音楽/フランチェスコ・コルティ&イル・ポモ・ドーロ

 フランチェスコ・コルティとイル・ポモ・ドーロのコンビは既に、ペンタトーン・クラシックスにJ.S.バッハのチェンバロ協奏曲集を録音している。コルティの豪壮さと繊細さを兼ね備えた独奏に厚みと色彩を併せ持つオーケストラが柔軟に絡み合う、屈指の出来栄えだった。両者のコラボの続編は、G.ベンダ、W.F.およびC.P.E.バッハらの多感様式あるいは疾風怒濤の作品群。かつてバロックから古典派への過渡期的な扱いを受けていたこれらの楽曲から、むしろ形式を逸脱し「個」の激しい感情が噴き上がる、革命的な美の世界を読み取り描出している。特にベンダの2曲は高密度で圧巻。来日公演が楽しみだ。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2025年2月号より)

【information】
CD『極端の時代、多感様式の音楽/フランチェスコ・コルティ&イル・ポモ・ドーロ』

ベンダ:チェンバロ協奏曲 ヘ短調、同ロ短調/C.P.E.バッハ:スペインのフォリアによる12の変奏曲、「チェンバロと管弦楽のためのソナチネ」よりアンダンテ/W.F.バッハ:シンフォニア ニ短調、チェンバロ協奏曲 ニ長調

フランチェスコ・コルティ(チェンバロ/指揮)
イル・ポモ・ドーロ

Arcana/ナクソス・ジャパン
NYCX-10504 ¥3300(税込)