アンガス・ウェブスター(指揮) 東京交響楽団

新鋭アーティストの共演に期待がつのるステージ

 演奏会における新しい才能との出会いは、大きな楽しみのひとつであり、場合によっては将来語り草になるような体験にもなり得る。そんな期待がふくらむのが、9月の東京交響楽団公演。なんと今年22歳の指揮者が、17歳のピアニストと共演する。これほどに「フレッシュ」な公演もなかなかないのでは。

 指揮者は1999年生まれのアンガス・ウェブスター。イギリスのコーンウォール育ち、バーミンガム王立音楽院で学び、2018年パヌラ国際指揮者コンクール最高位受賞、エサ=ペッカ・サロネンの薫陶を受けてアシスタントも担当。この夏にはロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管とのブラームス等の映像(無観客収録)が公開されるなど、世界的な期待を集める俊英だ。今回の日本楽団デビューは、フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番、シューマンの交響曲第2番と、幅広い名曲プログラム。特にシューマンのロマンと情熱がこの上なく込められた傑作シンフォニーで、若きマエストロがどんな鮮烈な演奏を聴かせてくれるのか。映像でのしなやかかつ堂々たる指揮ぶりを見るにつけ、期待がつのる一方だ。

 ピアノは2004年生まれの奥井紫麻。10歳でスピヴァコフ、12歳でゲルギエフと共演、世界の名ホールで演奏するなど、すでに別格の経験を重ねている。現在はモスクワのグネーシン特別音楽学校で学び、ロシアを中心に活動。日々さらに成長中の逸材が、モーツァルトの温かい名作で、格別な美音と音楽性を披露してくれるはず。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年8月号より)

*新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により、指揮のアンガス・ウェブスターが出演できなくなったため、代わりに下野竜也が出演します(8/6主催者発表)。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

東京オペラシティシリーズ 第123回
2021.9/4(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
http://tokyosymphony.jp