山田和樹(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

同時代に生まれた2大名曲を2大名匠で満喫

 この9月、日本フィルの指揮台に立つのは正指揮者の山田和樹。6月にサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団デビューを果たすなど、ヨーロッパで活躍を続ける山田が、昨秋以来久しぶりに日本フィルに帰ってくる。

 プログラムはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番(独奏:清水和音)と、ホルストの組曲「惑星」。ロシア的な濃厚なロマンが横溢するラフマニノフと、占星術由来のイマジネーションにあふれたホルストという興味深い組合せのプログラムが組まれた。前者は1909年の作曲、後者は14年から17年にかけての作曲。テイストは異なるが、実はほぼ同時代の作品だ。

 清水和音と山田和樹は今年3月に読響で初共演を果たしている。その際は、ガーシュウィンのピアノ協奏曲という、清水には意外なレパートリーだったが、今回日本フィルと共演するのは自家薬籠中のラフマニノフ。華麗で精彩に富んだソロが、作品の魅力をたっぷりと伝えてくれることだろう。ベテランの清水と、中堅世代に入った山田。世代の異なる日本を代表するスター同士の共演には、重厚感も漂う。

 ホルストの「惑星」では大編成のオーケストラがスペクタクルをくりひろげる。コロナ禍以降、私たちは小編成のオーケストラに慣れすぎてしまった感がある。広大な宇宙に思いを馳せながら、スケールの大きな音楽を楽しみたいものである。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年8月号より)

第233回 芸劇シリーズ 
2021.9/5(日)14:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
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