アレクサンドル・ラザレフ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

強い求心力と周到な音楽作り

 首席指揮者アレクサンドル・ラザレフと日本フィルによる好調ロシア音楽シリーズの次回は、「ラザレフが刻むロシアの魂《SeasonⅡ スクリャービン2》」。スクリャービンのピアノ協奏曲と、翌シーズンの予告編ともいうべきショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」という、聴きごたえのある2曲が並べられた。
 スクリャービンのピアノ協奏曲には、作品とソリストの両面から注目したい。20代半ばの作曲者による初期の作品で、演奏機会は少ないが、甘美で豊潤なロマンティシズムに満ちた協奏曲で、ほとんどショパンを連想させるほど。後に神秘主義に傾倒する作曲者にこんな麗しい青春時代があったとは…と感じ入りつつも、そこにスクリャービン独自の個性が刻印されていることを発見できるはず。ソリストは2011年の日本音楽コンクール ピアノ部門の優勝者、浜野与志男。父は日本人、母はロシア人で、ロシア音楽を得意とする俊英だ。1989年生まれで、年齢的にも作曲時のスクリャービンに近い。才気と共感にあふれた好演を期待したい。
 ショスタコーヴィチの「レニングラード」は、言うまでもなく作曲者代表作のひとつであり、屈指の大作。凄烈なエネルギーを内包する作品だけに、ラザレフの強い求心力と、ディテールを疎かにしない周到な音楽作りが活きるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2014年3月号から)

ラザレフが刻むロシアの魂《SeasonⅡ スクリャービン2》
第658回 東京定期演奏会 
★3月14日(金)、15日(土)・サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
http://www.japanphil.or.jp