ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ)×パオロ・ジャコメッティ(ピアノ)

名手ならではの歌心


 当代最高のチェリストの一人、ピーター・ウィスペルウェイ。2008年以来、彼が“弦の名門”トッパンホールで演奏するのはこれで4回目だというから、その親密ぶりに改めて驚かされる。過去3回は、以前は日本であまり知られていなかった彼の得意分野=現代音楽が中心だったが、今回は違う。本人たっての希望で、「自分は現代音楽以外の曲をこんな風に弾く」に焦点があたるのだ。その根幹が、シューベルトの晩年の傑作、ヴァイオリンとピアノのための幻想曲をウィスペルウェイ自身が編曲したもの。演奏の難易度が極めて高いことでも有名なこの作品をチェロに置き換えるとどうなるのか。作品の価値を新たな視点から高めてくれることを期待したい。そしてこの大樹を美しく取り巻くのが、ブラームス、プーランク、ドビュッシーの3曲。呪術的とも言えるウィスペルウェイ独特の歌心を、盟友パオロ・ジャコメッティの緻密で軽やかなピアノと共にたっぷり満喫しよう!
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2014年3月号から)

★3月14日(金)・トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com

他公演 
3/12(水)・紀尾井ホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040