公益財団法人サントリー芸術財団は、日本の洋楽の発展にもっとも顕著な業績をあげた個人または団体に贈るサントリー音楽賞の第52回(2020年度)受賞者を三輪眞弘に決定したことを発表した。片山杜秀、白石美雪、長木誠司、舩木篤也、松平あかねの5人の委員が最終選考をおこなった。三輪には賞金700万円が贈られる。
三輪は1958年生まれ。78年に渡独、国立ベルリン芸術大学で学ぶ。早くからコンピュータを用いての作曲法を追求した。様々なアーティストとのコラボレーションでも知られ、その活動で多くの受賞歴がある。今回はコロナ禍において作曲家自身が企画と構成をおこなった「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ─清められた夜─」のライブ配信で示した強烈な世界観が三輪の活動を総括するものとして評価された。
また、第20回(2020年度)佐治敬三賞は、「ペルセポリス 〜秋吉台で聴くテープ音楽〜」(20.9/5 主催:公益財団法人山口きらめき財団秋吉台国際芸術村)と「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ─清められた夜─」(20.9/19 主催:サラマンカホール)に決定した。同賞は公益財団法人サントリー芸術財団が、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画で、かつ公演成果の高い優れた公演に贈る賞。賞金は200万円だが、今回は2公演同時受賞のためそれぞれに100万円が贈られる。選考委員は伊藤制子、伊東信宏、片山杜秀、白石美雪、長木誠司、野々村禎彦、舩木篤也、水野みか子の8名。
秋吉台国際芸術村のホールと中庭でおこなわれた前者は、クセナキス、湯浅譲二、ノーノのアナログテープ音楽の古典的作品をまとめて多チャンネル野外上演したもので、選曲・演奏・歴史的意義の三拍子揃った稀有な公演として贈賞された。一方、サラマンカホールで無観客で開催された後者は、ライブ配信というスタイルで、ダンスやガムランなどのコラボレーションにより、コロナ禍という状況と真正面から向き合い、世界的に見てもまれなレベルの発信が高い評価を受けた。三輪は、サントリー音楽賞と佐治敬三賞、ダブルでの受賞となった。
サントリー芸術財団
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