クラリネットで拓く時空を超えたプログラム
東京オペラシティの名物企画「B→C バッハからコンテンポラリーへ」、その第222回に登場するのは都響のクラリネット奏者、勝山大舗。
プログラムは多彩だ。前半のコンセプトは「対話」。バッハの時代にクラリネットはまだない。そこで選ばれたのが無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調。無伴奏ながらも多声的な書法から対話性が生まれる。現代フランスの作曲家パトリック・ブルガンの「バヴァルダージュ」は、「おしゃべり」の意を題に持つ。こちらも一本のクラリネットが対話性を表現する。ブラームスのクラリネット・ソナタ第1番ではピアノの鈴木慎崇と音の対話がくりひろげられる。
後半は「ジャポニズム」がコンセプト。林光の「明日ひとつの歌が…」、ロジェ・ブートリーが奈良滞在時の印象をもとに書いた「飛鳥」、薮田翔一への委嘱新作世界初演、ドビュッシーの「第一狂詩曲」が披露される。ドビュッシーは勝山にとって「生涯をかけて向き合う作曲家」だという。全編が聴きどころとも言ってもよい意欲的なプログラムだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年5月号より)
*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2020.5/19(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp