念願だったショパンのソナタ第2番を弾きます!
「極端な言い方をすれば、コンサートでは『自分が』楽しむ必要はありません。お客さまにどれだけ楽しんでいただけるか、それを第一に考えたいと、この1、2年で強く思うようになりました」
デビューから7年目の外山啓介。穏やかな口調で、ストイックとも受け取れる言葉を口にする。リサイタルやレコーディングに加え、今年は「夢だった」と語るNHK交響楽団との共演、そしてベルギー・フランダース交響楽団との共演で欧州デビューを果たした。2台ピアノやトリオでのアンサンブルにも力を入れている。音楽家としての経験、そして日々の生活の中で、たえずさまざまな“気付き”を得ているのだ。
「先日、日本茶の専門店にうかがったのですが、お茶をいれる温度や茶葉の種類など、お店の方が詳細に話してくださったことに驚きました。そこまでできるのは、やはりお客さんに『美味しい』と感じてほしいからこそですよね。今年のリサイタルは、僕もそれに通じた想いから、きっと皆さんが『お好きだろうな』と思う作品をプログラミングしてみました」
とはいえ、単なる名曲コンサートにまとめないのが外山だ。前半はトランスクリプション(編曲作品)が並ぶ。ブゾーニ編曲による「シャコンヌ」(J.S.バッハ)、リスト編曲による「献呈」(シューマン)と「アヴェ・マリア」(シューベルト)、そしてラヴェルが管弦楽用とピアノ用に書き下ろした「亡き王女のためのパヴァーヌ」と「ラ・ヴァルス」を組んだ。