外山啓介 ●ピアノ

念願だったショパンのソナタ第2番を弾きます!

「ブゾーニもリストも、彼らの編曲作品は原曲とは“別物”の域にあると感じます。でも原曲の特徴的な表現はおさえておきたい。原曲がヴァイオリン作品なら、ヴィブラートやポルタメントといった弦楽器ならではの表現を意識しますし、原曲が歌曲なら、歌詞の内容、言葉のアクセントやブレスの位置などを研究します。ピアノにはできない原曲の表現と、ピアノにしかできない編曲の表現を同時に考えます。原曲の持ち味を大切にしつつも、編曲にしか見られない“別物”の世界とのバランスを考えます。でもお客さんには自由に受け取ってもらいたいですね」
「ラヴェルの2作品はどちらも舞曲ですが、あえて対照的なものを並べました。『ラ・ヴァルス』は、ワルツでありながらグロテスクな雰囲気があり、どこか冷たい感じもラヴェルらしい。ピアノ一台でもオーケストラのように色彩豊かに弾きたいですね」
後半はショパン作品。「子犬のワルツ」を含むop.64で軽やかに幕開けする。
「『子犬のワルツ』は、後半への招待状みたいな感じでしょうか。『英雄ポロネーズ』は、やはり、とてもいい曲ですよね」
そうしみじみと語る外山にとって、ソナタ第2番「葬送」をリサイタルで弾くのは念願だったという。
「どの楽章も性格が見事に違うので、きっと年齢を重ねるごとに解釈は変わると思いますが、今の僕にとっては激情的なイメージが強い。でも第4楽章は、どこか人を煙に巻くような不思議な音楽です。『人生を走馬灯のように振り返る音楽』という解釈を読んだことがありますが、その通りだと思います」
「葬送行進曲」として有名な重々しく深刻な第3楽章は特に好きだと話す。