2018 セイジ・オザワ 松本フェスティバル

プッチーニの人気オペラとバーンスタイン作品にフォーカス!


 セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)で恒例となっている小澤征爾音楽塾オーケストラによるオペラ公演。今年はプッチーニの《ジャンニ・スキッキ》が上演される(9/1)。基本的には、今年3月に京都、名古屋、東京で上演された小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅥの《ジャンニ・スキッキ》と同じプロダクション。タイトル・ロールにロベルト・ディ・カンディアを迎え、ラウレッタをアナ・クリスティ、リヌッチオをフランチェスコ・デムーロが歌う。指揮は、カナダ出身で、メトロポリタン歌劇場などでも活躍するデリック・イノウエ。小澤征爾音楽塾のオーケストラは、厳しいオーディションによって選抜された若き精鋭たち。既にそこから有力なソリストやオーケストラ・プレイヤーが輩出されている。そのフレッシュな演奏にはいつも驚かされる。
 《ジャンニ・スキッキ》は13世紀末のフィレンツェを舞台とした遺産相続をめぐる喜劇。歌手たちには歌唱力だけでなく、高い演技力も必要とされる。今回はデイヴィッド・ニース演出による、まつもと市民芸術館での本格的な上演だけに、歌や演技のアンサンブルを満喫することができるだろう。この作品はプッチーニにしては珍しいハッピーエンドの人気作で、ラウレッタが歌う〈私の大好きなお父さん〉は誰もが耳にしたことがあるに違いない。一幕物、約1時間と短めの作品なのでオペラ初心者にもおススメ。また小学生から高校生まではチケット代が大人の半額となっている。
 今年のOMFでは、総監督の小澤征爾が健康上の理由により指揮台に上がれないのが残念。だが、代役としてアメリカ育ちのケンショウ・ワタナベがサイトウ・キネン・オーケストラを指揮して今年生誕100年であるバーンスタインの作品(「キャンディード」序曲と「オン・ザ・タウン―3つのダンス・エピソード」)を取り上げることになったのは楽しみである(9/2)。若き日の小澤がバーンスタインのもとでニューヨーク・フィルのアシスタント・コンダクターとして研鑽を積んだことはよく知られている。OMFでバーンスタインの生誕100年を祝うのはまさにふさわしい。1987年生まれのワタナベは、現在、音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンのもとでフィラデルフィア管弦楽団のアシスタント・コンダクターを務めている。このコンサートは“OMF Gig”と題され、ドゥダメルと並び称されるベネズエラ出身の若きマエストロ、ディエゴ・マテウスやマーカス・ロバーツ・トリオによるガーシュウィンの作品の演奏もある。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年7月号より)

2018.8/18(土)〜9/7(金)
キッセイ文化ホール、まつもと市民芸術館、ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール) 他
問:チケット・インフォメーション・ダイヤル0570-084-735
http://www.ozawa-festival.com/
※各公演の詳細については上記ウェブサイトでご確認ください。