シュニトケ & ショスタコーヴィチ プロジェクト2―チェンバー・オーケストラ

時代に翻弄された作曲家3人の内奥を探る


 独自の視点と問題意識をもって、意欲的な主催公演を企画し続けているトッパンホールによる、今シーズン屈指の挑戦的な公演が「シュニトケ & ショスタコーヴィチ プロジェクト」である。室内楽作品を集めた第1回に続き、第2回は室内オーケストラを中心とした協奏作品——シュニトケの代表作「コンチェルト・グロッソ第1番」と「モーツ-アルト・ア・ラ・ハイドン」、エストニア出身(当時ソヴィエト連邦体制下)のペルトの「タブラ・ラサ」、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番を取り上げる。今はなきソ連を背景として、3人の作曲家たちの複雑な状況と精神が投影された傑作・怪作ばかりだ。
 トッパンホール チェンバー・オーケストラ(コンサートマスター:アビゲイル・ヤング)を指揮するのは井上道義。近年のN響や大阪フィルとのショスタコーヴィチは凄まじい名演続きで、諧謔味や遊び心にも長けた井上こそ、ソヴィエト作品を聴きたい指揮者だ。ソリストは第1回に続きヴァイオリンの山根一仁とピアノの北村朋幹が登場。中学3年にしてショスタコーヴィチの協奏曲の壮絶な演奏で2010年日本音楽コンクールを制した山根は、今回はシュニトケとペルトの3作品のソロで、内奥のメッセージを抉り出す。古楽から現代作まで研ぎ澄まされた解釈を見せる北村は、シュニトケ「コンチェルト〜」とペルト作品でプリペアード・ピアノ(前者ではチェンバロも兼任)を操り、ショスタコーヴィチの快作では井上の指揮ぶりと共に抱腹のフィナーレで会場を沸かせる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年3月号より)

2018.3/25(日)17:00 トッパンホール
問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com/