ジュゼップ・ポンス(指揮) 東京交響楽団

耳踊り心沸き立つ昼下がり


 リズムが弾む日曜の午後! 東京交響楽団の3月の東京オペラシティシリーズは、そんな躍動感に溢れたプログラムだ。ベートーヴェンの交響曲第7番は言うに及ばず、ワーグナーの歌劇《恋愛禁制》序曲も終始リズミカルだし、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番も推進力抜群のリズムが随所で耳を踊らせる。中でも注目は《恋愛禁制》だろう。本作は巨匠が22歳時に作曲したブッファ風のオペラで、序曲は打楽器を駆使した軽快かつ賑やかな音楽。ドヴォルザークの「謝肉祭」やオペレッタの序曲を彷彿させる(ワーグナーとはとても思えない)このレア曲を生体験するだけでも足を運ぶ甲斐がある。
 指揮はジュゼップ・ポンス。1957年スペイン生まれの彼は、スペイン国立管の首席指揮者を9年間務め(現在は名誉指揮者)、2012年からバルセロナのリセウ大劇場の音楽監督として腕をふるっている。パリ管、ゲヴァントハウス管、BBC響ほか著名楽団への客演も多数。ラテンの感性をもつ実力者が、おなじみのベートーヴェンの7番をどう聴かせるのか、大いに楽しみだ。
 ピアノは英国期待の新星マーティン・ジェームズ・バートレット。1996年生まれの彼は、英国王立音楽院で学び、2014年にBBCヤング・ミュージシャン・アワードを受賞。15年のBBCプロムスに最年少ソリストとしてデビューし、最大級の評価を得ている。クリアなタッチによる瑞々しいソロは、プロコフィエフの3番にもピッタリ。この近未来のスターの才気迸るピアノもぜひ耳にしておきたい。
 これは、未知の魅力に富んだ、心も弾む公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年2月号より)

東京オペラシティシリーズ 第102回
2018.3/25(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
http://tokyosymphony.jp/