エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)

コロラトゥーラの女王が《ルチア》で日本最後のオペラ出演!

C)Nagy Attila
 昨年に続き、エディタ・グルベローヴァが来日する。今回はハンガリー国立歌劇場との公演で、長大至難のアリアで知られる《ランメルモールのルチア》でのタイトルロールを歌うのだ。《ルチア》は42年前、20代後半のグラーツ歌劇場での公演以来、彼女の主要レパートリーになっていた。しかし、ここしばらくはどこでも歌っていない。日本では1996年のフィレンツェ歌劇場以来ということになる。古希を迎えた彼女が披露するコロラトゥーラの超絶技巧を駆使した、あの〈狂乱の場〉、これはまさに奇跡!
 そんなエディタには強力なサポーターがいる。オペラ公演やリサイタルには巨大な花束を持って世界中から大勢の人が駆けつける。エディタはそんな熱烈なファンたちに支えられ、常に第一線で活躍してきたのだ。その彼女が、来年は歌手生活50年を迎える。2月のチューリッヒ歌劇場を皮切りに、6月はウィーンで、7月にはミュンヘンで50周年記念ガラが盛大に開催される。
 それに先立ち、日本ではオペラ・アリアのコンサートも開かれる。プログラム後半は《ロベルト・デヴリュー》などのベルカント・アリアが中心だが、前半はモーツァルト。《後宮からの誘拐》のコンスタンツェの名アリアも聴きものだが、《イドメネオ》から第3幕幕切れのエレットラの激しい〈オレステとアイアーチェの苦悩を〉を歌うのも楽しみだ。今まさに円熟の境地に到達したエディタの技巧の限りを尽くした、お得意のアリアを集めたコンサート。指揮はペーター・ヴァレントヴィッチ、管弦楽は新日本フィルハーモニー交響楽団。
 グルベローヴァは聴く人にパワーと生きる歓びを与えてくれる、まさに奇跡の人なのだ。
文:石戸谷結子
(ぶらあぼ2017年11月号より)

ハンガリー国立歌劇場 《ランメルモールのルチア》
2017.11/9(木)18:30 東京文化会館

エディタ・グルベローヴァ オペラ名曲を歌う
2017.10/26(木)19:00 すみだトリフォニーホール

問:コンサート・ドアーズ03-3544-4577
http://www.concertdoors.com/ 
※ハンガリー国立歌劇場来日公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

他公演(グルベローヴァのソロ公演)
2017.10/29(日)びわ湖ホール(077-523-7136)
2017.11/2(木)札幌コンサートホールKitara(オフィス・ワン011-612-8696)