エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) 読売日本交響楽団 「第九」

フランスの名匠が目指す新時代の「第九」


 もうすぐ「第九」の季節がやってくる。暮れの風物詩として、「第九」は毎年でも聴きたい作品であるが、だれが指揮をするかは気になるところ。今年、大いに話題を呼びそうなのは読売日本交響楽団を指揮するエマニュエル・クリヴィヌではないだろうか。
 クリヴィヌは1947年生まれのフランスの指揮者。日本では比較的早くから録音を通じてその名が知られているベテランである。リヨン国立管弦楽団の音楽監督を務め、演奏水準を飛躍的に向上させて名声を高めた。今年9月には、フランス国立管弦楽団の音楽監督に就任している。おもしろいのは、2000年代に入ってからピリオド楽器のオーケストラであるラ・シャンブル・フィルハーモニークを創設して旋風を巻き起こしたところ。すでにモダン・オーケストラで実績豊富な指揮者としては珍しいケースだろう。近年、クリヴィヌはラ・シャンブル・フィルハーモニークとともにベートーヴェンの交響曲全集をNaïveレーベルに録音し、清新な演奏で大きな話題を呼んだ。
 そんなクリヴィヌが読響と共演する「第九」。はたしてどんな演奏になるのだろうか。クリヴィヌの目指すスタイルと、オーケストラが持つスタイルのぶつかりあいは、きっと興味深い結果をもたらすはずである。
 インガー・ダム=イェンセン、清水華澄、ドミニク・ヴォルティヒ、妻屋秀和という万全の独唱陣に加えて、定評ある新国立劇場合唱団が共演するのも心強い。やはり合唱あっての「第九」。盛大な「歓喜」で一年を締めくくりたい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2017年11月号から)

2017.12/17(日)、12/23(土・祝)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
12/19(火)、12/20(水)各日19:00 サントリーホール
12/21(木)19:00 大阪/フェスティバルホール
12/24(日)14:00 横浜みなとみらいホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
http://yomikyo.or.jp/
※12/17、12/23、12/24公演は完売。