東京オペラシティリサイタルシリーズ B→C 印田千裕(ヴァイオリン)

日本人作品も取り入れたこだわりのプログラミング

©小島竜生
 東京芸術大学から英国王立音楽院に学び、帰国後はソロから室内楽まで幅広い活動を展開、近年は日本女性作曲家や山田耕筰を特集したアルバムなど邦人作品の演奏でも高い評価を得るなど、意欲的なパフォーマンスが光るヴァイオリニストの印田千裕。5月には彼女らしいプログラムで東京オペラシティ『B→C』に出演。「ヴァイオリンの音色の美しさと響きをさまざまな角度からとらえ、それぞれの作品の魅力を最大限に表現したい」と印田は思いを語る。
 前半は無伴奏作品集。バッハの無伴奏パルティータ第3番のきらびやかな音楽で始まり、サーリアホ「夜想曲」の静寂、クセナキス「ミッカ“S”」のダイナミズム、タルコフスキーの映画から着想を得た糀場富美子の「ルブリョフの扉」と続き、ソロ・ヴァイオリンの限りない可能性を表現。後半は安田正昭のピアノとの共演で、池辺晋一郎「顫(ふる)へたる身の舞踏」を。そして最後はロマン派の代表的傑作フランクのソナタで、そのあたたかな響きがすべてを優しく包み込む。
文:林 昌英
(ぶらあぼ 2017年5月号から)

5/16(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp/