正月はロシアの名曲三昧で
1年の最初にどのコンサートを聴くか。その年を占うような気分も強くなり、つい慎重になってしまいそうだが、名曲中の名曲を王道で! とお考えの方なら東京文化会館のロシア名曲プログラムはいかがだろうか。
没後400年というメモリアル・イヤーで2016年が盛り上がったシェイクスピアの名作悲劇を、チャイコフスキーが約20分のオーケストラル・ドラマに仕立て上げた幻想序曲「ロメオとジュリエット」。口笛で吹けるほど魅力的な旋律と、荒々しくもゴージャスなダンス音楽で聴き手の心をわしづかみにするボロディンの「だったん人の踊り」。そして難曲といわれるピアニズムと濃厚なロマンが壮大なドラマを繰り広げる、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。この3曲だけでロシア音楽のエッセンスを浴びることができるプログラムであり、「お正月だからクラシックを聴こうか」という家族や友人を気軽に誘えるコンサートでもあるのだ。
指揮はヨーロッパを拠点に活動を続けながら、2016年4月より札幌交響楽団の指揮者に就任し、日本での活躍もますます期待される垣内悠希。ラフマニノフのソリストは「この曲にこの人あり!」と誰もが認める小山実稚恵。東京都交響楽団の緻密かつ豊かな響きでのロシア音楽は、読者にとって、幸運な2017年への第一歩になるかもしれない。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2016年12月号から)
2017.1/3(火)15:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp/