インタビュー:佐東利穂子(ダンサー)〜あいちトリエンナーレ2016《魔笛》

 「あいちトリエンナーレ2016〜虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」で9月17日(土)、19日(月・祝)に上演される、勅使川原三郎の演出・美術・照明・衣裳によるプロデュースオペラ、モーツァルト《魔笛》。
 東京二期会を中心とした歌手陣と東京バレエ団のダンサーも加わっての舞台となるが、なかでも勅使川原と並び重要な役目を担うのが、KARASの主力ダンサーである佐東利穂子。
 佐東は、今回の舞台で勅使川原の演出助手を務めるほか、日本語によるナレーションと、登場人物の深層心理を表現する主要ダンサーとしての3役を担う。
 多忙な稽古の合間をぬって、佐東に話を聞いた。
(2016.8.23 都内稽古場にて 取材:編集部 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

佐東利穂子

佐東利穂子

ーーー今回、演出助手、ナレーション、ダンサーの3役を担います。
佐東:
普段のKARASのダンス公演でも、自分が踊るだけでなく、装置や演出のことも含め、全体を通して見るような役割に常にあります。《魔笛》では3役ですが、そうした意味では、見方、やり方は変わりません。ただ歌手の方、バレエ団の方など関わる方が多いので、いつもよりも目を配らなければならないところが多くなりますね。

ーーーオペラの舞台で踊ることについて、どのようにお考えですか?
佐東:
勅使川原さんはこれまで何回もオペラ演出をされていて、私もダンサーとして出演することがあったのですが、オペラの中でのダンスのあり方、演出の仕方は公演ごとに役割がその都度微妙に異なります。今回の場合、具体的な役を演じたり、役割として誰かを演じるということではなく、周りの空気やその人(役)の表に現れない感情を表現します。ですから、私たちがやっている普段のダンスに近いものがありますね。抽象的でありながら、音楽的なダンスだと思っています。
 昨年パリで上演した《ソラリス》では、具体的な役として歌手の方と同じ役割を担い、その役をダンサーとして演じ、対になっている、という形をとっていましたが、今回はダンサーの数も多く、場面ごとに出たり入ったりしながら、空気のように存在する形です。

ーーークラシック音楽で踊ることについて、どのような印象をお持ちですか?
佐東:
クラシック音楽だからといって、他の音楽と、あるいはダンスとを分けて考えたりはしませんが、「歌がある(入る)」、生で歌手の方たちが歌っていることで、そこに大きなエネルギーを感じます。どういう感情を表現しているかに関わらず、情感的なエネルギーが強いので、生の歌で一緒に踊るというのは常に刺激がありますね。

ーーー東京バレエ団のダンサーたちと共演してみていかがですか?
佐東:
東京バレエ団とは4月からワークショップを飛び飛びでやっているのですが、皆さんとても真面目です。ダンサーたちにはもっといろいろな表情が身体から出てくるようになってほしいなと思っていますが、今は様子をうかがっているところも恐らくあるでしょうし、初めてのことで戸惑いもあると思います。ただワークショップの段階でやっていたことが、ここにきて生きていると思います。リハーサルは短い時間で、ダンス中心にやるわけではないのですが、そのような中、皆さんよく対応してくれているなと思います。
 振付ではないダンスが多く、皆さんにとっては普段と違う点も多いかと思いますが、これはワークショップでやってきたことでもあります。形や振付以前に、自分の身体を緩めて音楽を感じる、呼吸を感じる、ということをずっとやってきたので、そのあたりは皆さんずいぶん慣れてきて反応もよくなってきています。

ーーー佐東さんから見た勅使川原さんの魅力は?
佐東:
勅使川原さんは何事も常に新鮮にみられる方だなと思っています。それは私自身、とても見習いたいところです。一緒にやっていて驚かされることがよくあります。何に関しても、初めてのことのように物事を見る方です。音楽に対してもそうですが、初めて聴くように、常に0(ゼロ)から始められる、あるいは、自分がやったことを壊しても構わない、そのくらいの気持ちでもう一回見て、やっぱり良いと思えるかどうかを、常に試している感じがします。本当に大事なことが何なのかということに対して厳しいですし、確かな目を持っています。そして、いつも自分に対して疑問をもっている方だなと感じています。

 ■あいちトリエンナーレ2016 プロデュースオペラ
モーツァルト/《魔笛》
(全2幕・ドイツ語上演・日本語字幕付き・日本語ナレーション)

9/17(土)、9/19(月・祝)各日15:00 愛知県芸術劇場

演出・美術・照明・衣裳: 勅使川原三郎
指揮:ガエタノ・デスピノーサ
管弦楽: 名古屋フィルハーモニー交響楽団

賢者ザラストロ:妻屋秀和
夜の女王:高橋維
王子タミーノ:鈴木准
王女パミーナ:森谷真理
鳥刺しパパゲーノ:宮本益光
弁者&神官Ⅰ:小森輝彦
恋人パパゲーナ:醍醐園佳
ダンサー:佐東利穂子、東京バレエ団
合唱: 愛知県芸術劇場合唱団

問:クラシック名古屋052-678-5310
  愛知県芸術劇場052-971-5609
http://aichitriennale.jp

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