第28回「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催:公益財団法人日本美術協会)の受賞者が9月13日の記者会見で発表された。音楽部門では、ギドン・クレーメルが選ばれた。
ギドン・クレーメルは、1947年ラトビアのリガ生まれ。ダヴィッド・オイストラフに師事。69年にパガニーニ国際コンクール、70年にはチャイコフスキー国際音楽コンクール第1位に輝き注目をあびる。これまでに、カラヤンやバーンスタイン、小澤征爾、サイモン・ラトルら約500人の指揮者と共演し、120枚以上のアルバムを発表している、中でも、ニコラウス・アーノンクールからは古典音楽の解釈を学び、大きな影響を受けた。
主に、バッハ、モーツァルト、ブラームスなどをレパートリーとしているが、一方でシュニトケ、ペルト、グバイドゥーリナといった旧ソ連の現代作曲家や、ピアソラの作品を盛んに演奏し、世界中に紹介した。
若手育成にも尽力しており、81年にオーストリアで「ロッケンハウス音楽祭」を設立し、室内楽の向上・普及に努めたほか、97年には、バルト3国の若手演奏家を集めた室内楽団「クレメラータ・バルティカ」を結成。同楽団は2009年に「若手芸術家奨励制度」の対象団体に選ばれており、W受賞となる。また、同賞では、ヴァイオリニストとして初の受賞となる。1977年以降の初来日以降、日本各地で公演している。今年6月にも来日し、若手ピアニストのルカ・ドゥバルグとデュオ・リサイタルを行った。
来年は「クレメラータ・バルティカ」創立20周年、クレーメル生誕70年にあたり、さまざまな活動が企画されている。
そのほかの部門の受賞者は、次の通り。絵画部門:シンディ・シャーマン(アメリカ)、彫刻部門:アネット・メサジェ(フランス)、建築部門:パウロ・メンデス・ダ・ホッシャ(ブラジル)、演劇・映像部門:マーティン・スコセッシ(アメリカ)。
また、第20回『若手芸術家奨励制度』として、ファイブ・アーツ・センター(マレーシア)が選ばれた。同団体のメンバーで演出家のマーク・テは、10月に京都で行われる「KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN」での公演を予定している。
「高松宮殿下記念世界文化賞」は、日本美術協会の創立100周年を記念し設立、前総裁高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及・向上に広く寄与したい」との遺志にもとづき、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される。
なお、授賞式は同協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下出席のもと、10月18日(火)に東京・元赤坂の明治記念館で行われる。受賞者には、顕彰メダルと賞金1500万円が贈られる。
高松宮殿下記念世界文化賞
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