
一噌幸弘/藤原道山
「声」と並び、人が音楽を愛し始めた最初期から使われる楽器が「笛」だろう。息がそのまま音色になる至高の楽器。世界各地の文化と歴史を背景に、独自の発展を遂げてきた笛の名人が集結! 東京と芦屋で夢のガラ・コンサートが実現する。
かつて5歳でデビューし天才リコーダー少女と呼ばれたミカラ・ペトリは、今や世界最高峰の奏者。その彼女を中心に、雅楽師の東儀秀樹、フルート奏者・山形由美、さらに能楽師笛方の一噌幸弘(2/8東京)、尺八演奏家の藤原道山(2/9芦屋)が加わってのプログラム第1部は、各人のソロで楽器の個性を堪能する。ペトリがバッハの無伴奏チェロ組曲第1番の一部を吹けば、東儀がシャンソンの名曲・コズマの「枯葉」や、ピアソラの「リベルタンゴ」を雅楽器で披露するといった具合。
第2部は斬新な組み合わせで、和洋の笛によるデュエットやアンサンブルが予定されていて、多くのリコーダー好きが愛するテレマンのソナタをペトリと一噌(op.5)または藤原(op.2)が奏でるなんて、もう興味津々! さらにオリジナルは2台のヴァイオリンとピアノのためのショスタコーヴィチの小品集をペトリと山形で演奏、坂本龍一の佳品も多種の笛で重奏される予定だ。このように時代とジャンルを超えて、名人たちによる夢の「笛サミット」と呼ぶべきがこの公演だろう。
有名な曲も、初めて聴く曲も、フルート=笛のスター奏者による澄んだ音色と温かい息遣いで聴けば、安らぎと懐かしさすら感じるはず。まさに「笛の楽園」となるコンサートだ。
文:朝岡 聡
(ぶらあぼ2024年12月号より)
世界フルートフェスティバル2025
2025.2/8(土)14:00 紀尾井ホール
2/9(日)14:30 ルネサンスクラシックス 芦屋ルナ・ホール
問:ムジカキアラ03-6431-8186
https://www.musicachiara.com
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。