藤木大地(カウンターテナー)が贈る、夏の午後の“うた”めぐり――モンテヴェルディから酒井健治まで

©安田慎一

 8月6日、浜離宮朝日ホールで藤木大地のリサイタルが開催される。

 「今回はVol.5。これまでの4回ではたくさんの出逢いがありました。曲との出逢い、ゲストとの出逢い、そしてもちろん客席の皆さんとの出逢い」

 藤木のリサイタルはオムニバス形式の年と、数人の作曲家に焦点を当てた連作歌曲中心の年が交互に組まれてきた。今年はオムニバスの年で、バロックから現代日本歌曲まで17人の作曲家による作品が並ぶ。

 「前半は、これまでのキャリアの比較的初期に取り組んだ曲が多いです。その後、歌う機会がなかった曲を今回ひっぱり出してきて、皆さんに聴いてもらおうかなと。例えばヘンデル《アレクサンダーの饗宴》からの〈やわらかく甘いリディア旋法で〉は、イギリスで習っていた先生にすすめられて勉強した曲。あまり歌われていないと思うけれど、いい曲です」

 前半はモンテヴェルディ、バッハ、ヘンデルからシューベルト、リスト、ドビュッシー、ヴォルフらを経て、酒井健治、加藤昌則、木下牧子の日本作品へと至る。後半はコルンゴルト、クィルター、メンデルスゾーン、R.シュトラウス、ヴォーン=ウィリアムズ、そしてパーセル(ブリテン、アデスの編曲)で締めくくられる。

 「酒井健治『ガブリエーレ・ダンヌンツィオに基づく2つの歌』は、オーケストラ版の初演(名古屋フィル、2019年)と、僕が頼んで書いてもらったピアノ版(びわ湖ホール、2020年)の両方を初演で歌っています。加藤昌則〈風のうた〉と木下牧子〈シャガールと木の葉〉は、過去の浜離宮でのリサイタルのために委嘱した曲です」

 今回はゲストにソプラノの宮地江奈を迎え、後半にデュエット・コーナーを設ける。

 「昨年、浜離宮の僕のリサイタルに聴きに来てくださった宮地さん。彼女の際立った明るさは、夏の出逢いにぴったりだと思います」

 クィルターやメンデルスゾーンに加え、オペラ《ばらの騎士》の二重唱も披露される。藤木のソロではオペラ《死の都》からの〈わが憧れ〉も聴きどころだ。

 28年来の友人で共演者であるピアニストの松本和将についても、藤木は笑いながらこう語る。

 「コンサート・ピアニストの彼が、歌も好きで真剣に取り組んでくれるのがすごいなと。歌詞も理解しているし、でも気持ちがのってくると声を出して歌ってしまうのは困るんですけれど。暗譜がギリギリの曲を横で一緒に歌われるとアー!ってなるんですよ(笑)」

 完売を重ねてきた人気シリーズ。真夏の浜離宮に、大きな期待が集まる。

取材・文:井内美香

(ぶらあぼ2026年7月号より)

浜離宮アフタヌーンコンサート
藤木大地 カウンターテナー・リサイタル
2026.8/6(木)13:30 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/